2016年のブリ釣行記
釣行日
場 所
天 気
潮回り 満 潮 干 潮 開 始 終 了 同乗者 釣 果

12/19

能代沖

晴れ 中潮 4:42 12:50 7:00 14:00 7 5

 悪友トハナ&ヒットマンの囁きに洗脳され、自分でも気がつかないうちにブリ釣り用のタックル、メタルジグ、PEライン、リーダー、プライヤー、ジグ収納のハードケースその他諸々を揃えていた。準備ができると、これまた恐ろしいもので、早く海に出たいと強く思ってしまう。その結果、まだ鯛釣りをしていた10月に船の予約を三つ入れてしまった。やる気満々とは、このことか?

 初戦は11月23日。華々しいデビューを果たし、我が合衆国のトップページをド派手に飾る予定だったが、天気に邪魔されて出船中止。ま、いっか、天気はどうしよーもないからなぁ。どうせ二週間後に2回目の予約してるんだし…と、大人の対応をして心の広いところを装った。

 そうして迎えた2回目の12月11日。三日前から予報は芳しくなかった。案の定、荒天中止。この時点で発狂気味に。なにせ、今季2016年の真鯛釣りが11回も中止の憂き目にあっており、人に言われるよりも先に「荒れ男」宣言をするほど、ひどいシーズンだった。そんな悪い運を断ち切ってブリに臨みたいと思っていたので、2戦連続中止は嫌な気分だった。

 ラストとなる3回目がまさか?…と考えると、夜もおちおち眠れない日々が続いた。全財産を投げうって購入したタックル一式が一度も使うことなく終わるだなんて悲しすぎる。オヨヨ、オヨヨとすすり泣く夢を毎晩見た(爆笑)。

 さぁ〜、3回目はどうなったか?
 ココまで書いて「どうなったか?」は、今更、無いべさと怒らないで欲しい。出船したから釣行記を書いてるんだもんね。ゴメン、出ました。ただ予報はヒヤヒヤもんだった。三日前の予報は絶望的に悪く、あぁ〜無理だわと、ほぼ諦めていた。それが、急転して、驚きの出船になったんだから天気予報ってのはわからない。

今回乗るのは能代市を母港とする「第18 八竜丸」。胴元トハナ君が仕立て予約にするという一大バクチを打って出た。ゲゲ?平日なのに8人も集まるのか?と危ぶんだが、策士トハナのこと、しっかり数を合わせて集めてきた。この辺の顔の広さ、あるいは強制拉致のテクニックは誰も叶わない。ある意味、怖い人なのかもしれない。

 準胴元ヒットマンから「出船しまぁ〜す!」の連絡を受け、慌てて準備し、そのあと勤務へ。21時に仕事終わって即就寝するはずだったが、この日はクラブワールドカップ、サッカー決勝が行われ、アントラーズ対レアル・マドリードがとんでもない好ゲームを展開したため、TVから目が離せない事態に。どうにか22時には目処がつき、催眠術を掛けて強引に寝た。午前1時、強引に起床(これまで釣りの予定で寝過ごしたことは一度もナシ)。2時にはハンドルを握って東北自動車道青森中央ICを通過していた。道路は雪も無く乾燥し、待ち合わせの十和田インター出口を目指して快調に走った。

午前3時、三沢から八戸ー安代経由で来たトハナ一行と合流。ココからブリ師匠ヒットマンさん(ココだけ“さん”付け)に助手席へ乗ってもらい、情報収集をしながら能代までの80kmを走った。大館を過ぎ、北秋田市(鷹ノ巣)付近から気温が氷点下ゼロを示すようになり、道路はワックスを塗ったようにピッカピカに光り、加えて濃い霧が立ち込めてスピードダウンを余儀なくされた。カーブに差し掛かると背中にゾクゾクするモノを感じ、ツルッといかないよう慎重な運転に徹した。

 午前4時半、能代港に到着。春先と違って、日の出はまだずっと先の話。まっ暗で何も見えない。ヘッドライトをつけて、早速、支度開始。12月の船釣りは初めてなので、ヒートテック上下、靴下、首巻き、手袋、ホッカイロ等を着用し、防寒対策を万全にした。

 船長、現る。挨拶をすませ、荷物を船に積み込んだ。
 最初のポイント「テリ場」までは約2時間。全員が操舵室に入ってソファーに座ったり、仮眠室で横になった。訛りの強い船長が仲間の船長と無線交信するのを子守唄にしばしの仮眠。青森の人間が言うのも変だが、秋田弁は口をあまり開かずに話すので理解しづらい。かつて黒鯛釣りで秋田県の男鹿に通った頃「ごんめ、ごんめ」と言う人がいて、何を謝っているのかと思ったら、釣った黒鯛が「5枚だ」と言ってるのだと理解した時のことを思い出した。異論承知で言うが、津軽弁はフランス語みたいで綺麗だよね(笑)。

 2時間という長い移動時間は、じわじわと苦痛をもたらした。エコノミークラス症候群ではない。ヒートテック着用が体を必要以上に温めて、額から汗が滲み始めていた。我慢出来ず、一気にわずか2枚の薄着に変身し、ふ〜、さっぱり。いつのまにか、うたた寝していた。

 船の揺れでガツン!と後頭部が窓にぶつかり、目を開けるとだいぶ明るくなっていた。
 午前7時、エンジン音が弱くなった。「テリ場」に到着したようだ。窓越しに外を見ると、オオ〜、ウネリがスゲェ〜。横揺れがひどくて、まっすぐ歩けない。ヒットマン先生が出たのを確認し、後に続いた。

 右舷の最船尾に陣取って仕掛けを準備しようとするが、ひどい揺れで難儀する。
 さぁ〜、みんなはどうしてるのか?……あれ?フリーズしている人がいる。目をつむっているから、まだ眠気が強いの?いや、違う。覇気が無い。待ちに待ったポイントへ到着したというのにゾンビのようだ。あらまぁ〜、船酔い?胴元のトハナ君もゾンビになっていた。移されちゃ困るから近づかないでおこう。

 よっし、じゃぁ〜、お先に釣らさせて貰うか。ただ、自分の釣り座は排気ガスが下から吹き出して肺ガンになりそうなほど空気が悪かった。

 水深約90m。250gのメタルジグで開始。探見丸親機が搭載されているので子機が使えるのはありがたい。底付近に反応があり気合いを入れた。しかし、一度、底取りして空振り後、再びジグを落として二回目が底に着いた時、プゥ〜〜!と音が鳴った。
 あいやぁ〜! ヒットマン先生が話していた「移動の合図」だった。急いでジグを引き上げなければならず、必死にハンドルを回すが、これまで100gの真鯛用メタルジグでも「重い!」と文句を言ってきた身である。ロッドが硬いとは言っても250g×90mはきつい。
 これが一度だけならまだイイが、この後、似たようなパターン(底取り2回で移動という忙しいパターン)が何度も続き、まだ魚を掛けてもいないのに体力バッテリーはみるみるうちに減っていった。

 テリ場で思うような釣果がなかなか出ず、悪魔のプゥ〜〜!が、また鳴った。汗だくで回収。
 船が動き、次のスタンバイをしたが、なかなか止まる気配がない。かなりのスピードで西に走る。まもなくして携帯の電波が立たなくなった。あれ?陸が見えない。日本海のどこまで西に走るの?この船長、まさか北朝鮮の工作員?少し心細くなった、その時・・・。

(下に続く)


フォトギャラリー
八竜丸 操舵室内部
第十八 八竜丸(秋田県能代市)

テリ場までの2時間は操舵室に退避

計器類 船長の椅子
いろんな機器が所狭しと設置されている  運転席
グロッキー ダウン
体力はあるが船酔いには勝てない 仮眠室で大の字船酔い

(上から続く)
久六島 前方はるか右に、老眼の目でもわかる白い灯台が見えてきた。ぬぬぬ?アレって、もしやアレ?マジでアレ?

 年寄りの会話をしている場合ではない。アレってのは久六島(きゅうろくじま)?おおお〜〜、間違いない。久六島(※1)のようだ。

 ※1 久六島の住所は青森県深浦町。青森県民としては深浦から出船したい。夏場はマグロ狙いで出るチャーター船はあるようだが、冬場に気楽に乗り合いで出る船は残念ながら無い模様。

 「来ちゃったよ、魚の宝庫、久六島。どうする?ヒットマンさん」。「ブリじゃなくて、マグロがヒットするかもよ」「おほほ、300kgのマグロ釣れたらどうしましょ?」「竿折れておしまい?あるいは竿ごと海に引きずり込まれて竜宮城行き?」「怖ぁ〜!」

 先ほどまで携帯のアンテナが立たなかったのに、久六島が近くなると1本程度と弱いながらも立つようになった。もしかして灯台にアンテナあるのかも。
 ココをお読みの方で「久六島観光」を予定している方への朗報です。auは通信出来ますよ〜、ご安心ください。docomoとSoftBankはわかりません。なにせ、ユーザーが船酔い中で確認できなかったんです。

 こんなに遠くまで来たのなら水深が500mあって、さぞ深いんだろなと思ったら意外にも浅かった。一番深いところでも120mほど。とはいえ、120mは自分の釣り歴で過去に無い深さ。

 ガッチガチの素人シャクリをしていると・・・突然、ズン!と下に引っ張られるパワーを感じた。ん?来たのかな?とハッキリしない感動の中、しゃくりを続けるとズシッ!と重みがかかった。おっしゃぁ〜!間違いない!来たぁ〜〜〜!!

 100mの底から引き寄せる作業は大変だったが、初ブリヒットの嬉しさで顔はニヤニヤしていたように思う。ハンドルを回す右手に疲労感が出た頃にヤツは顔を出した。
 「オォ〜イ、タモ、タモ!」と叫んだが誰も助けてくれない。背後から聞こえたのが「小さい魚(1m以下)はリーダーを掴んで抜け」だった。ウッ!アッポーペン!・・・いや、うっ、確かに小さい。真鯛と違って雑な扱いなんだね(笑)。
 初めての魚は70cm弱のワラサだった。2016年12月19日、午前9時33分、自分史に新たな1ページが加えられた。

 この後、みんなにもヒット続出し、船酔いで腰を下ろしたままだったトハナ君もついに竿を手に取った。しかし、まもなくして大塚製薬のポカリスエット並みの胃液を滝のようにゲロッピしていた。

 久六島で5本ゲット。ココに来られただけでも満足なのに5本も釣れて満足だった。サイズ的にはすべてワラササイズ。最大は80cm。なかなか、メーターオーバーのブリは出ないのダ。

 船長は納得していなかった。
「みんなにでかいブリを釣って喜ぶお土産を持たせて帰らせたかったから、こんな遠くまで来たんだ。だから釣れている時には休まずに仕掛けを海の中でシャクルこと。休めば魚はいなくなる」と盛んに檄を飛ばすのだが、自分にはもうウルトラマンの危機的状況のようにカラータイマーが激しく点滅していた。ジグを落とすが、もはやウルトラ怪獣と戦うパワーが無かった。

 船長が言うように電動リールはあったほうが便利で良さそうだ。だが、初めてのブリ釣りで、いきなり電動リールに手は出ない。普段の運動不足を補うには手巻きで頑張るほうが健康にもイイ。でも、辛かったのは間違いない(笑)。覚悟はしていたが…。

 ヒットマン先生は最初に来ていたウエア上着を早い段階で既に脱いでいた。やっぱ40代はイイな、羨ましい。とはいえ、自分も若者につられて、一番上のウエアを脱いで4枚で頑張った。良く考えれば50代(還暦間近で、只今、カウントダウン中)は自分一人。勝とうと考えるのは無謀なのかも。

 仕立てメンバーは、普段からハードな訓練で鍛えている職業の者が8人中、6人もいて、おそらく体力的な問題はなかった。よってバンバン、釣りそうなもんだったが、敵はブリよりもウネリだった。船酔いにギブアップしつつも、釣りたい一心でロッドを持ち、ヒットすれば吐き気と戦いながら苦しそうにハンドルを巻く者もいた。見るからに可哀想だったが、裏返せば可笑しかった。大の男がゾンビなんだから。

 一方、自分は酔い止めも飲まず頑張って船酔いをしなかったが、いかんせん体力が続かず、一本釣れば、ゼイゼイと喘息のような辛い呼吸と戦っていた。もう少し、リーリングがうまく出来れば、体力の消耗を抑えられて(ヒットマン先生の教え)、来季は涼しい顔してメーターオーバー&20kgのマグロ並みのでかいブリを20本ほど上げているかもしれない。

 目標は生きる上での励みになる。目標の無い人生ほどつまらないモノは無い。まだまだ楽しいこと、いっぱい有りそうだ。もうちょい、頑張ってみるか。


あれは?久六島か?
魚の宝庫、久六島まで来てしまった
ヒットマン、余裕 トハナ、ブリゲット
ヒットマン、余裕綽々。さすがぁ〜 トハナ、酔っても釣る時は釣る、さっすがぁ〜
ワラサ ヒットジグ
ブリサイズには届かずも超ウレCかった いろいろ試したが、このジグだけで5本ゲット
ブリ、ブリ、ブリ ブリ、ブリ
初釣りでこんだけ釣ったのは上等 久六島では皆、量産
久六島 入魂したタックル一式
久六島は日本固有の領土です(笑) このタックルにしっかり魂が入った
今日の釣果 船長

クーラーが苦しい〜と悲鳴をあげる

 船長、負けず嫌いだねぇ〜。他船には数でもサイズでも負けられないと何回も叱咤激励されました。
3台の車
休憩所。宿泊も可能らしい 遠距離走行は苦にならない。さぁ〜帰るぞぉ〜
戦い終えて
陸に上がって、ようやく笑顔が出た人も。内海と違い、外海のウネリはハンパなかったネ
My ブリ
自慢のワラサ…いや、ブリと呼ばせてください、お願い

★ return ★