MLB Tour '98

★アトランタ編 9月1日 その2★
午後、CNNセンターの見学へ向かう。イラクとの湾岸戦争を世界に向けて実況中継した、あのCNN。
ここのツアーもなかなか楽しめて面白かったのだが、長くなるので省略。

1時間ちょっとの見学を終えて、センター内にあるブレーブスのクラブハウス・ストアを覗いてみた。
ココにはターナー・フィールドにさえなかった商品がいろいろあって、つい、また、たくさんの買い物をしてしまった。
レジで支払いを済ませているとCNNのネームプレートを付けた黒人女性のリンダが話しかけてきた。
リンダ「ニホンジンデスカ?」(←これ、日本語です。ホントに日本語で話しかけてきたんだもぉ〜ん)
弥次「ハァ〜イ、いえっさー」(←これ、英語です:笑)リンダ「ワタシ、ニホンニ スンデタ コト アリマス」弥次「そうかい。こんなとこで日本語の会話が出来るとは思わなかったわい」リンダ「2ネンカン エイゴ オシエテ マシタ」弥次「へぇ〜、ナイス・ツー・ミーツー・ユー」リンダ「サヨナラ オハヨゴザイマス ドモ アリガト」弥次「よく知ってるねぇ(笑)」

そこへレジの男性(ドニー・シールズさん:これ、本名です。ウソの名前じゃありません。この時点ではわからなかったが、ブレーブスのイヤー・ブックで1時間27分後、確認しました)が声をかけてきた。ドニー「“B”マークの帽子だな。う〜ん、ボストン」弥次「ハイ、ぶれーぶすがボストンにフランチャイズを置いてた時のモノです(笑)。金曜日にあめりかへ入国し、ぬーよーく、ぼすとんを回ってあとらんたに来たんですぜ。明日、帰るつもりですダ」
ドニー「それはそれは。楽しかったかい?」
弥次「おふ・こーすです。昨日もげーむを見たんですが、あとらんたの町がすっかり気に入ってしまいましたよ」ドニー「喜んで貰えて嬉しいねぇ。今日はマダックスとジョンソンだよ。盛り上がると思うよ」弥次「今日は人生で一番幸せな日になりそうです(口調が次第に“です、ます”調の優等生になっている:笑)」

ドニーは「ちょっと待って」と言い残して席を外した。その間、リンダとしばし会話(といったところで、これまでの道中記を読まれた方には既にバレバレですが、私の貧弱な英会話と彼女の貧弱な日本語が微妙なズレを起こし、スムーズな会話と言えるには150mほどの差があった:笑。でも楽しい一時でした)

ドニーが戻ってくると、グリーンの紙切れを「ギフトだよ」と言って弥次に2枚手渡してくれた。よくみると“755クラブのゲスト・パス”と書かれている。なんかよく理解できないが、結構なモノをいただいたってことは理解できた。説明をするドニーに「ちょっと待っておくんなまし。今、通訳の喜多という者を呼びますんで。お〜い、喜多さんやぁ〜、へるぷ・みー」
喜多「なんだい、大きな声で呼びつけやがって」弥次「彼の話を聞いてくれ」
ドニー「△*♂♀▼÷」喜多「♀▼÷△*♂、イッツ・グレート!!、サンキュー」

喜多「ゲゲェ〜、俺達が見学してきた“755クラブ”で飲み食いできるフリーパス券だよ。しかも$30.00までなんでも喰えるそうだ」弥次「ほんとかよぉ。(ドニーさんのほうを向いて)どにーさん、ほんドニー、ありがとう。しぇーしぇー(ペコリ)」感激のあまり、弥次は、値段的に買うか買うまいか迷っていた大きなトラベル・バッグ(ブレーブスマークが付いている)を急遽買うことにした。

一番、喜んでいたのは弥次よりも喜多さんのほうかもしれない。
彼はヒューストンのキャップを被っていたので、ドニーさんにひっくり返されてからかわれていたのだが、“755クラブのゲスト・パス”を手にして「幸せだなぁ〜。アメリカ最後の夜は腹一杯、ステーキが喰えるぞ」と大喜びでスキップを踏んでいたのだから。

さぁ〜、荷物が増えてしまったので、またまた、ホテルに戻らなくてはいけない。CNNセンター内に居るときは全く気がつかなかったが、外の空気に触れて驚いた。
前日同様、とてつもないスコールだった。時刻もほぼ同じ午後4時過ぎ。一時も早くターナー・フィールドの“755クラブ”に入りたかった弥次喜多は迷った。
弥次「すげぇ〜、雨だなぁ」喜多「お土産が濡れちまうぜ」弥次「でも、ここで雨宿りしてるわけにもいかねぇ〜し、走るぞ」喜多「そうだな、それ、ダッシュ」

ホテルに戻って、すぐさま、着替えをしてコンシェルジュの元へ。
喜多「今日のゲームのチケット、届いてますか」バーバラ「ありますよ、ほぉ〜ら、コレよ」
弥次喜多一同「ひゃ、ひゃ、ひゃぁ〜〜、ついに手に入れたぜ。やったぁ〜」
弥次「これで今日は確実に問題なく見られるわけだな」喜多「そうともよ。楽しみになってきたぞ」弥次「このチケット、絵柄もちゃんと入っているし、まさしくチケットって感じだな」喜多「おい、見てみろよ。額面 $30.00だぜ。それが、$120.00だもんな(※1)」弥次「4倍かぁ」喜多「それだけ今日は皆が注目してるんだな」

※1
カードで支払ったので、その時点では$120.00だと思っていたが、のちほど届いた請求書には$100.00と書かれていた。今から考えると、この$20.00の差は大きい。

前日同様、スコールはすっかり止んでいた。前日の貴重な経験が“雨で中止”の不安をもはや払拭していた。

一刻も早くターナー・フィールド入りしたかった喜多から、ある提案が…。

喜多「どうでぇ〜、シャトルバスを利用してちゃ、遅くなるから、いっそのことホテル前からテクシーで行かねぇ〜か?」弥次「そりゃ名案だ。おめぇ〜さんの腹の虫がさっきからグーグー鳴ってるもんな」喜多「$30.00もタダで喰えるんだぜ。アメリカに来たら、絶対、一度はジュルジュルのステーキを喰って帰るって心に決めてたんだ」弥次「わかった、わかった。ヨダレを拭きな。みっともねぇ」

試合開始の1時間30分ほど前だったろうか?“755クラブ”へ胸を張って入場。

弥次「うわぁ〜、いいなぁ、この雰囲気、豪華だぜ〜」喜多「肉、肉。肉はどこだ?」弥次「ちょい、待てよ。今、バニーちゃんが来るからよ」バニー「ハァ〜イ、御注文は?」喜多「肉」弥次「取りあえず、びーるを二人分、くれ」バニー「わかったわ」喜多「肉はどこだ?」バニー「右の方へずっと進めばバイキング式で貰えるわよぉ〜ん、うっふ〜ん」喜多「よっしゃ〜」と猛烈なダッシュ!

弥次「しょうがねぇ〜なぁ。俺は一通り、落ち着いてからにしよっと。それにしてもたくさんの人がいるぜ。ミッポン人は全然見当たらねぇ〜なぁ。ひょっとしたら、この中の唯一のミッポン人かもな。幸せだぜ」
そんなところへタップリの御馳走を二皿に盛った喜多が帰ってきた。

弥次「どうでぇ〜」喜多「……、もう最高!モグモグ、うめぇ〜」弥次「(腹の虫がグ〜〜〜)じゃぁ、俺も調達してくっか」

御馳走会場に行ってみると、まさしくなんでもあり。いい匂いが部屋全体に立ちこめている。喜多さんほど食べられないと思った弥次は一皿に盛りつけて喜多の元へ戻った。まず先にミートローフにガブリつくと、トロォ〜として実に柔らかい。口の中で溶けるのが良くわかる。思わず「うんめぇ〜」

あっと言う間に平らげた喜多は「おかわりぃ〜」と言って、9秒99のスピードで再び肉屋さんまでダッシュ。
バイキング・テーブルを駆け回って、御馳走を集め回ってるうちに、思わず試合の開始時刻を忘れそうになっていた。
喜多「おい、おい、そろそろ始まるぜ」弥次「そうよのぉ〜。$120の席を無駄に出来んからの〜」

国歌斉唱の後、ちょっと変わった人物が登場して始球式を行なった。頭の光った黒人がマウンドに立ち、盛んに声援を浴びている。電光掲示板をみるとボクシングのヘビー級チャンピオン、ホリフィールドだった。彼は後日、アトランタで防衛戦を行なうことになっていたため、そのイベントも兼ねてマウンドに上がったようだ。当日のブレーブス・名誉キャプテンともアナウンスされていた。

そうこうしているうちに、いよいよベスト・ピッチャーの対決が始まった。マダックスは先頭のビジオをいきなりストラックアウトに仕留めるなど初回を軽く3人で片づけてしまった。相変わらずの省エネピッチングに「2時間でGO HOME!かい?もう少し楽しませて欲しいもんだぜ」と弥次。

続いてニコリともしないランディー・ジョンソンがマウンドへ。先頭のギーエンをフライでアウトにしたまではよかったが、次の2番ウィリアムスに四球を与えた後、ガララーガの出場停止によって4番に座った好調のロペスがセンターにタイムリー打を放ち、早くも1点を失ってしまった。

弥次「じょんそん様、大丈夫かい?」喜多「大丈夫に決まってるじゃねぇ〜か」

2回表、今度はマダックスがいきなり4番バグウェルに一発を浴びてタイスコアに。

弥次「まだっくす、大丈夫かい?」喜多「大丈夫なわけねぇ〜だろ」

その後、ジョンソン様は次第に調子を取り戻し三振の山を築き始めた。一方、マダックスはいつものようなキレがなく毎回、ランナーを出す。5回には、一人、ランナーを塁に置いてビジオに2ラン、7回にはベリーにソロを打たれて、このイニングをもって降板してしまった。

弥次「10安打だぜ。だけんど、ソロ2本、2ラン1本の計4失点は大量点を与えない“まだっくす”らしさが出てるのかねぇ〜」喜多「そんなこたぁ〜、どうでもいい。ジョンソン様さえ勝ってくれれば」

3回頃、右隣にいた老夫婦(お爺さんは63歳エイブラハム、孫はスーザン3歳、お婆さんは不明:笑)が席を立った。当初は飲み物でも買いに行ったのかな?と思ったが、しばらくしても帰ってくる様子がない(結局、そのまま終了まで席に戻ることはなかった)。どうやらスーザンは女の子ということもあって飽きがきて、しばらくすると活動が活発になり最後はバタンキュー。これまでと思ったエイブラハムが球場を後にしたらしい。

弥次「彼らは正規の$30.00でチケットを買ったんだろ〜なぁ。俺達にはとてもできねぇ〜こったぁ〜」いつでも来ることができる環境を大いに羨ましがった弥次であった。一方、喜多は「見ろよ、プレゼントの人形が椅子の下にあるぜ。あれ、欲しいなぁ」弥次「おめぇの娘さんに欲しいのか、優しいオヤジだなぁ」
喜多「うんにゃ、俺が欲しいんだ」弥次「ガクッ」

その時点では帰ったとは思えなかったため、試合終了後、残ってたらいただく手はずになっていた。だが、いつのまにか無くなっていた(笑)。

尻上がりに好調となったジョンソン様は完投も可能だと思われたが、9回裏、一度、マウンドに上がった後、投球練習中にダーカー監督が歩み寄って降板。翌日の新聞で知った事だが、どうやら左足に不調を感じたため大事を取って降りたことがわかり納得した。

終わってみれば“ジョンソン(アストロズ)2対マダックス(ブレーブス)4”。
マダックスにはもっと完璧さを求めていたが、7回で4失点、しかも10安打も打たれてこれだけとは、やっぱりたいしたピッチャーである。一方、ジョンソン様も終わって見ればわずか4安打1失点10奪三振と強打のブレーブスを相手に彼本来のピッチングを見られたのは幸せであった。

BOX SCORE

TEAM 3 4 5 6 7 8 9 R H E
HOUSTON 12
ATLANTA

勝:R.ジョンソン(6勝1敗) セーブ:ワグナー(27)
負:マダックス(17勝7敗)
本塁打: HOU バグウェル (29号ソロ:2回)
        ビジオ   (19号2ラン:5回)
        ベリー   (12号ソロ:7回)
     ATL A.ジョーンズ(25号ソロ:9回)
主審:ゲーリー・ダーリング

気温:22.8℃ 天候:曇り 試合時間:2:22 観客数:46,238人


記念撮影をした後、球場を出た。
弥次「あぁ〜、終わっちまったな」喜多「そうだな」二人とも無言であった。

球場を出て、喜多「後生だから俺の願いを聞いてくれねぇ〜か?ホテルでジョンソン様に会いてぇ〜んだ。だからテクシーでホテルに先回りしねぇか?」弥次「いいとも」

(ホテルに到着し、ロビーでしばらく待機)

弥次「私服に着替えてりゃ、あすとろずの選手が目の前を通ってもわかんねぇな。それにココはちょっと見晴らしが悪いから、いくらジョンソン様でも見落とすかも」喜多「大丈夫さ。彼が歩けば天井に頭の擦った後があるはず。これを手がかりにすれば部屋まで辿り着けるぜ、きっと」弥次「そんな馬鹿な(唖然)」

約1時間半ねばったが、ゲットならず。残念でした。もちろん頭の跡もなかった。

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