あすぱむ徒然草

 マグロ・ファイト!!!
 約3年のブランクを経て、龍飛マグロ漁の見学に行って来ました。

 11月上旬に一度「乗りたぁ〜い」とリクエストし、準備を整えて待機しましたが、自然には勝てず、大シケのため出船中止。
 そして今回。予報を見ても、さほど荒れる気配がないことから再びリクエストして、ようやく目処がつきました。

 朝早くからの行動は実にしばらくぶり。寝過ごしの不安を抱えながら、前夜午後10時に寝床へ入りました。
 釣りをするのとは違って、見学ですから、気分的には楽なわけで、眠りにはスウゥ〜っと入りましたが、睡眠時間5時間半の間に電話のベルと足首のこむら返りで2度起こされ、ややご機嫌斜め。でも、ドライアイの目が午前3時にバッチリ開き、家人を起こさないようにコソコソと身支度をして、まだ真っ暗な中、我が家を後にしたのでした。

 日中のドライブとは大違いで青森市内の大通りはスイスイ走り抜け、市外では野生動物の道路飛び出しに充分な注意を払いながら走行。後ろをぴったり追走してくるのは、やはり釣り目的の者か?こんな夜中に車を走らせるお馬鹿は釣り人しかいないでしょ。

 午前5時過ぎ、龍飛のとーちゃんの自宅に到着。とーちゃんとは3年ぶり。「おはよー!今日一日お願いしますよ」と挨拶。
 龍飛ご夫婦、ここ最近、東京のTV局からの取材依頼が多く、その人気は全国区になりつつある。あまりのセレブぶりに人柄も変わってしまったのではないかと危惧しましたが(笑)、全く変わってなくて、ひと安心しました。

 聞くところによると、テレビ東京のスタッフが一週間ほど腰を据えて撮影していたとか。年末スペシャルで放映されるそうで、今から楽しみになってきました。クリスマスの頃にお披露目されるみたいなので、テレビ東京が見られる方はご覧になってみてください。

 とーちゃんの準備も整い、いざ港へ!
 港は船に明かりが既に灯り、エンジン音が轟き、活気に満ちていました。そんな漁港の雰囲気が、なぜか胸を高鳴らせ、大好きです。

 前日には135キロを釣り上げたニュースに期待が高まります。昨年、243キロを上げている事を考えれば、まだまだ満足はしていないはず。今日に賭ける意気込みはビシバシと伝わってきます。

 マグロのエサはいろいろあって、フクラゲ、イカ、サンマ、トビウオ、サバなど、その時のマグロがどのエサに良く食い付いたかの情報を入手してエサが決定されます。本日のエサはアオリイカ。船の水槽で泳ぐイカを見ると、やや小ぶり。近ごろ、あまり大きいイカが獲れず、小ぶりなのが気掛かりな様子。やはり大きいと目立って喰いが立つのだそうです。

 ポイントに着き、仕掛け投入の準備。水槽から生きの良いアオリイカをすくい上げ、頭に針を刺して、海にブン投げます。潮に流され、糸がどんどん出ます。しばらくして糸に取り付けられたオモリが現れ、それを投入。なおも糸が出て、最後は蛍光赤のダンブを投げ入れる。こんな手順をダンブの数の4個分、繰り返します。
 ダンブと船の間には接点がないため、ちゃんと監視していないと見失う事も時々あるようです。事実、船内の無線では「オラのダンブ、めねぐなった(見えなくなった)」と騒ぐ方が居ました。

(下に続く)

↑竜飛埼灯台を前にスタート。波1m、風2mと穏やか
↑最初の投入が最もワクワクする ↑広い海に放たれたダンブに期待を込めて・・・
↑午前7時、暗雲立ちこめ、雨がパラパラ ↑電気ショッカーが備わっていた
↑アオリイカのてっぺんに針を刺して投入 ↑一時、帰港した時、刺激的なマグロが目に飛び込んできた
↑鳥山のそばにマグロのジャンプが・・ ↑周囲の変化に常に監視の目を配るとーちゃん

 ダンブに異変が起こると、船はそれを追いかけて回収し、糸を「巻き取りドラム」(と言うんでしょか?正式名称は知りません)にセットして格闘が始まるわけです。今回、新兵器があることに気がつきました。3年前にはなかった電気ショッカーが装備されてました。これは、相手の力が非常に強くて難儀した場合、糸に通して海中に放してやり、マグロの口の近くに到達した時に200ボルトの高電圧を流して、失神させてしまうという、マグロに言わせれば「卑怯なぁ〜」と嘆いているであろうシロモノ(笑)です。このおかげで300キロ越えも楽々に、しかも失神中で暴れないためにモリ打ちも正確に行なわれ、商品に傷を付けない方法でしとめる事が出来るようになったのです。
 これが使われる場面が、まさに私の目指すところなんですが・・・・。

 正午前、どうにもアオリイカのサイズに納得がいかない「とーちゃん」は一度、港に戻ることを決断します。
 仲間から大きめのイカを少しだけ分けてもらう手はずをしたのです。港に入り、荷揚げ場に目をやると、今まさにフォークリフトにぶら下げられたマグロが出荷の木箱に収められるところでした。重量200キロほどでしょうか?でかいなぁ〜
 さすがに重量をとーちゃんに尋ねるわけにはいきませんでした。ガンバレ、とーちゃん!ケッパレ、とーちゃん。

 イカを貰い、再び、ポイントに戻ります。

 なかなかヒットするのが難しければ、せめてジャンプだけでも見たい。とはいえ、あの大海原のどこでいつジャンプするかは予測がつくわけも無く、ただひたすら目を動かしてチェックしていましたが、鳥山が立つところにマグロがジャンプする傾向があるみたいだなと、段々わかってきました。
 映像として残し、皆さんにも感動の一部をおすそ分けしたいといつも思っているのですが、これもまた大変です。望遠で覗くと、船の上下動で画面が大揺れして、とても見られたものじゃありません。ヘタすりゃ、船に乗ってもいないのに、見た人が船酔いするかも知れません。また、いくら船酔いをしない私でも、ファインダー越しに見ると、少し変になりそうです。
 揺れの少ない広角で撮影は出来ましたが、あまりにも小さくて感動させられるモノじゃなかったので、静止画にしてアップしてみました。画質が荒くてハッキリしませんけど、コレがマグロのジャンプです(笑:あまり伝わらないってが?)。

 この季節、天候によってはかなり冷え込む事から防寒対策をしっかり取りました。竜飛崎の西側に船が位置するとほとんど無風なのに、船が流されて津軽海峡に近付くと急にヤマセが強くなり、時々、ブルッと震えがきます。慌てて、ウエアにもう一枚インナーを追加して着込みました。また、フードを被ることで、周囲からの風をシャットアウトするようにして、寒さをしのぎました。風は体温を激しく奪うのす。

 ダンブ(発音としては、やや舌を丸めてフランス語のように「ダァンブゥ」。TVCMでおなじみの「Dove」みたいにはっきり言うのはいけません)は時折、波間に揺られて見えなくなる事があり、一瞬、ハッとします。ヒットした時のダンブの状態を知らないため、何度、慌てたことか(笑)。とーちゃんの説明では、クルクル回転して巻かれていた糸が無くなると、今度はマグロに引っ張られて海中に潜るのだそうで、そのクルクルが私の未体験ゾーンなんですね。

 回れ!回れ!と強く念じましたが、午後3時、終了の時刻がやってきました。今回も夢を果たせず、次回への持ち越しとなりました。やはりTV局のように一週間、密着して船に乗らないとダメなんですかね?私が乗ると釣れないというジンクスが定着しないように、次回こそ是非釣り上げて欲しいものです。次回は来年になるかもしれません。このチャレンジ、まだまだ続きます。

↑防寒対策には充分注意しました ↑漁を終えて戻ると、またマグロが・・・
↑岩木山の前でマグロが跳ねてくれると嬉しいなぁ〜

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