MLB Tour '98

★帰国編 9月2日★
あっという間に過ぎた6日間だった。どの街も個性的ですべてが魅力的だった。

帰国当日、朝6:00に目が覚めた弥次は部屋のカーテンを少し開けて、まだ薄暗いアトランタの景色を眺めた。まるで映画のワンシーンのような光景が飛び込んできた。弥次「およよ、奇麗な夜景……いや、朝景だな。記念に写真を撮ろうっと」

喜多「おはよぉ〜う。ふわぁ〜。今日は帰るだけか」
弥次「帰りたくねぇ〜なぁ」
二人は荷物を整理して午前10:30発の帰国便に間に合わせるように準備を済ませた。

もう、ほとんど、帰りの飛行機の中では魂のない状態だった。二人とも今までになく無言の12時間だった。
成田空港到着後、別れの儀式を行なう余裕もなく、弥次「じゃぁ〜なぁ〜」喜多「また、今度」という無気力な言葉を交わして、今回の弥次喜多珍道中は終わった。

★番外編★

1 円安のせいもあるかもしれないが、思ってた以上に、物が高いなと感じた(※1)。ファスト・フード店でハンバーガーセットが$5.00前後、つまり約700円。球場で飲むビールにしても$3.00ぐらいで飲めるのでは?と想像してただけに当初、驚いた。消費税も日本より高い。NYでの買い物のレシートがあいにく手元になくてわからないが(おそらく7%前後)、アトランタでは7%だった。ボストンは日本と同じ5%。旅行となると、つい大盤振る舞いをしてしまい、消費税への関心が薄れがちだがレシートを見て、改めてその高さを思い知った。
※1 当時のレートは1ドルが約140円。

2 NYでの出来事。ボストンへの移動でホテルから空港までタクシーを利用した際、タクシーの運ちゃんが隣りから割り込んできた一般ドライバーに向かって、中指突っ立てポーズで堂々とアピールしたのにはビックリ。客の我々に悪さをしなければいいがと、少し恐怖を感じたひとコマだった。

3 アメリカ人の気さくさに恐れ入った。気軽に声をかけてくるのには嬉しかったと同時にもっと堪能であれば、深く話し込めて、また違った体験ができたのではないか?と思った。学生時代にもっと英語を真面目に勉強しとけば、スティファニーと今ごろ……、あっ、いけね。

4 ボストンでの出来事。ホテルのエレベーターが満員になり、これ以上乗れない状況なのに、ある階で止まった。ドアが開いて乗り込もうとした黒人男性マイケルが「オォ〜、マイ・ガ〜」。皆は「ごめんなさいネ〜〜」マイケル「(愛想を振りまいて)しょうがない、別のに乗るか」と言い残してドアが閉まった。我々のエレベーターは各階に止まり、ロビーのある3階にやっと到着。ドアが開いて目の前に現れたのはマイケルだった。
マイケル「みなさん、長旅お疲れさまでした。俺のほうが速かったよぉ〜。どうだい、キャッハッハ〜」と話す(話しているらしい)のには一同、笑ってしまった。陽気なマイケルにアメリカの姿を感じた。

5 地下鉄に乗るため、トークン(直径1センチほどのコイン)を自動販売機で買うのだが、札を入れる方向を間違えると戻ってきてしまう。ちゃんと表を上にして説明通りの入れ方をしないと機械が感知できないらしい。日本じゃ、裏面を入れても大丈夫。偽ドル対策なんだろな。それにしても買い物をして、お釣りで返されるドル札の汚いこと、この上ない。クッチャクチャになったのもあれば落書きがたくさんあるモノも。つくづく日本のお札は奇麗だなぁと感じた。

6 タバコ事情であるが、思ってたほどシビアでなかった。むしろ日本以上にポイ捨てされている。道路を通行中にくわえ煙草をしている人を見かけては、大丈夫かな?と心配したほど。ただ、公共の場所は日本同様ダメ。タクシーの中は法律で禁止。
ボストンのフェンウェイ外でタバコを吸っていた時の話であるが、前方にパトカーを発見した喜多さんが「マズイ。火を消しましょう。捕まるかも」と言ってきた。慌てて煙を消して、しばらく様子を伺ったところ、パトカーと思われた車(白の車体に黒の縞模様だった)は、なんとタクシーだった。ボストンでは白と黒がタクシーなのだと良い勉強をさせて貰った(笑)。

7 アメリカ滞在中、MLBファンの友人(名古屋在住の“うっちぃさん”や大阪在住の“星の子さん”)に国際電話をした。我々の頼りない道中を心配してくれたので安心してもらうために……。だが、実のところ、彼らを羨ましがらせたかったというのが本音である(笑)。夜分、遅く電話してしまって、申し訳なく思っている。
さて、うっちぃさんからは「マック鈴木が9月にメジャー昇格します」という貴重なニュースの提供があり、これを聞いた(8月31日の時点でマリナーズがボストンに滞在中)喜多さんこと水夫さんは「もしかして、今、我々のホテルのどこかにマックがいるかもしれない」と色めき立った。

8 帰国の2日前には妻から「アナタ達の飛行ルート上に北朝鮮がミサイルを2発、発射して日本は大騒ぎになってるのよ」と聞かされ「なぁ〜に、また、驚かそうとしてぇ〜〜。俺はジョークの本場アメリカに今いるんだよ。そんなことぐらいじゃ慌てないよ」と返事したのもつかの間、まもなくCNNニュースで本当の出来事であることを確認して驚いた。帰国便が北海道から東北地方上空に差しかかった時は、結構、ナーバスになった。まさにテポドン発射事件は他人事でなく自分事だった。

9 帰国前夜、今度はスイス航空機がアメリカ東部で墜落。情報が錯綜し、混乱しているニュースを見ながらホテルをチェックアウトした時は「頼むから無事に帰りたい」と願った。

10 愛犬に感謝。少し歩いただけで翌日足が痛くなっていた私は、今回のツアーに備えて3月に小犬(雑種)を貰ってきて暇を見つけては散歩の相手をさせた。「少しの散歩ぐらいじゃ、鍛えられるわけないじゃない」との妻の言葉に反して、私の足はすこぶる丈夫なモノへと変身していた。旅程を終えて、全く足の筋肉痛に見舞われなかったことが嬉しくて、帰宅後、真っ先に愛犬コロの元へ立ち寄り、頬擦りしたのは言うまでもない(笑)。

おしまい