2011年の真鯛釣果

場 所
天 気
潮回り 満 潮 干 潮 開 始 終 了 同乗者 釣 果
6/11
三厩沖
長潮 11:14 5:09 3:30頃 14:00 8 0
 今回は濃霧の怖さを身をもって思い知る釣行となった。
 あろうことか、霧の中から現れた漁船に激突されるというアクシデントに見舞われ、その衝撃で、この釣行記を書くための記憶が、すっ飛んでしまった。よって、かなりラフな釣行記になるかもしれないので、お許し願いたい。

 恒例になりつつある仙台の釣友8名らとの14時間ロングラン・仕立て釣りが今年も始まった。
 船酔いが心配でなかなか乗る勇気を持てなかったというタックスさんが、東日本大震災の傷(身内に津波犠牲者、床上浸水して自宅がしばらく居住不可になるなど、かなりの被害を経験)を癒す意味もあって、意を決して新たなメンバーに加わる。
 みんなで「良く効く酔い止め薬があるから大丈夫、大丈夫」と励まして、真鯛釣りのボルテージを上げた。なお、タックスさん以外にも他の皆さん、大きな被害を受けていた。

 注目の週間予報は、当初、傘マークが付いていたが、日を追う毎に優しくなり、しまいにはお日さまマークになり、皆の意気込みはピークに達した。そんな期待を胸に、仙台グループは3台の車に分れて、午後9時、仙台市を出発した。

 一方、自分はその頃、仕事を終え、帰宅後すぐに仮眠。
 いつもなら、中途半端に起きてしまうのが、今日は瞬間爆睡して、午前1時の目覚ましが鳴るまでたっぷり眠れた。
 結果的には、この余裕がボウズに終わったのか?そういえば、前回釣れたものだから、今回は“最低でも一枚くらいは”という慢心があったように思う。

 午前3時、港に到着すると、皆は既に乗船していた。なんて気の早いことと思ったら、港は混雑し、我々の船「海幸丸」が出るのを他の船が待っているという。急いで支度して、ひと息付く間もなく、船に乗り込んだ。

 沖合は霧があるものの、波は穏やか、風弱く、べた凪。タックスさんもこれでは心配なさそうだ。

 午前3時半、水深40mからスタート。潮が緩い。今日は長潮。津軽海峡は、悪い潮回りでも気にしないのだが、あまりにも緩いため、少し面食らう。通常、ココではあまり使わない40gでも底が取れる。KaSさんは21gの棒状ブラーでも底取りしていた。

 遠目に海面がざわつくので、目を向けると、20〜30頭ほどのイルカの群れがイワシを追いかけてあちこちで暴れている。ベイトがいて活性が高いのは良いが、イルカの暴れっぷりの良さで、さすがの真鯛も恐れをなして散るのではないかと不安になる。

 アタリが来ないため、船を移動。やや沖合に出た時、魚探にベイトが強く出たため、急きょ停めて探ってみた。
 偏光グラスで海を覗くと先程よりも更に多く、物凄い数のイワシが見える。カブラを投入するとラインにスレてショックを感じるほどだ。

 このチャンスをモノにしたのが船尾に陣取った熊さん。午前4時40分、イワシカラーのメタルジグにヒットさせた。
 続いて、ケンイチさんがテンテンでヒット。更にgajinさんがメタルジグで・・・。
 10分ほどの短い間に立て続けに3枚上がり、船内は活気づいた。
 ジグが良さそうだとわかったが、あいにくイワシ色の持ち合わせがない。赤金系をキャストするも反応ナシ。
 ベイトの反応も徐々に無くなり、最初の時合いが終了。時間を有効に使えなかった悔しさが残った。

 (下に続く)


フォトギャラリー
本日の第1号を釣った杜の熊さん(4:40 a.m.) ケンイチさん、第2号ゲット(4:45 a.m.)
gajinさん、第3号ゲット(4:50 a.m.) KaSさん、第4号ゲット(5:25 a.m.)
午前5時、佐々木さんらが乗った飛鷹IIが龍飛から移動してきた
TOMEさんの鯛、直前でアイナメに化けた メタルジグを食った真鯛
メバルも釣れた アベさん、嬉しい一尾(1:40 p.m.)
ベタ凪、無風。霧の濃さが少し気になった

ミズクサカレイ(上)
オニカサゴ(下:釣り人はタックスさん)
鯛カブラの第一人者、シマノフィールドテスター
佐々木洋三さん(左)が飛鷹IIに乗船した

SIBUさん、おめでとう(1:40 p.m.) 船釣り初参戦のタックスさん、52センチ、1.4キロのデカいアイナメをゲット

 (上から続く)

 14時間もの長時間をカブラ系だけで探るのは辛いだろうと判断し、イソメも用意してみた。これは少なからず奏効し、メタボなソイや、型の良いミズクサカレイなどが楽しませてくれた。タックスさんには一升瓶クラスのアイナメ(52センチ、1.4キロ)や、高級魚オニカサゴが釣れて、本命は残念ながら出なかったが喜んでいただけたと思う。

 なお、前日17日からの三日間、鯛カブラの第一人者であり、シマノのフィールドテスターを務める佐々木洋三さんが、シマノのスタッフらと共に、飛鷹IIに乗船した。初日と本日の明け方は龍飛沖のポイントを狙っていたが、まもなくして三厩沖に移動してきた。それまで我々が、釣果5対0とリードしていたが、あっという間に同点に追いつかれ、さすが、プロだなと舌を巻いた。

 二枚目、はたまた三枚目を上げる人が出て、船中の数は二桁に乗ったが、一方では釣れなくて苦しむ人も出た(その一人が自分)。残り時間が気になる中、夕まずめに一発逆転を目論みつつ、ボウズの影もチラつき、くじけそうになる気持ちを抑えながら、竿先に集中していた。

 陸地がどこなのか判断できないほど霧が濃く、真っ白で不気味な雰囲気の中で前代未聞の事故は起こった。

 右舷後方から、ブ〜〜〜ン!というエンジン音が小さく聞こえ、船が居るのを確認してはいたものの、たいして気にせず、海底の魚に神経を集めていたが、徐々に音が大きくなるので「おいおい、近付いてないか?まさかぶつからないだろな?」とKaSさんと話していたところ、そのまさかが現実のモノになるとは誰が思ったことか。

 突然、白い空間から漁船がヌゥ〜ッと現れた。

 いやぁ〜、腰が抜けんばかりに、も〜ビックリ。一番、驚いたのは船尾の熊さん、SIBUさん、gajinさん(gajinさんは仮眠してたかも知れない)。自分達めがけて、直進する漁船に重大な結末を覚悟したらしい。
 スピードがのった漁船は、まるで日の丸特攻隊のごとく、こちらめがけて向かってくる。我が海幸丸はエンジン停止中のため、逃げることも出来ず、向こうに気付かせようと、慌てて、皆で手を大きく振ったり「ぶつかるぞ〜!」と大声を張り上げたりした。
 が、一向に気づく気配がなく、直撃を受けそうな右舷側の人達はとっさに反対側へ移動し、船首左舷に居た自分は衝撃で海に落ちないように身をかがめた。

 「あぶない!来るぞ!」「ヤバイ、どうなるんだ?」「神様、助けて!」「かぁ〜ちゃん、サヨナラ」とでも声を発してたはず。
 次の瞬間、右舷中央にゴォ〜〜〜ン!!!ガギ、ゴギ、バギ、ドギと激しく衝突
 サイドに垂らしたタイヤが大きく跳ね上がったのが目に焼き付いている。

 竿や道具が横倒しになったが、追突の衝撃は意外にも弱かった。非常にラッキーなことに、斜め後方(約4時の方向)から衝突したため、相手漁船が弾かれる形となって、あまり揺れなかった。まさに奇跡。少しでも直角に近い角度で衝突していれば、真っ二つに割れていたか、あるいは乗り上げられて、浸水沈没かケガ人が出て大事故になっていたに違いない。船べりの亀裂のみで済んだのは信じられない。

 奥崎船長が「こらぁ〜〜!どこ、見てたんだぁ〜〜!こっち来い」と激怒すると、漁船はゆっくり回って、再び近づいてきた。
 やりとりしたが、海上では危険なので漁港に戻って話し合いをすることとなり、これによりロングラン釣行は4時間早く、午後2時で終了。と言うか、すでに釣りを続ける気力が萎えてしまっていた。そして、安堵したのもつかの間、見た目で判別つかない船体の損傷があって、一気に浸水するのを避けたかった。気持ちは港に早く戻りたかった。
 ぼう然自失の中で帰り支度。夕まずめにハチマルを釣る予定だったのに、すっかり狂ってしまった(笑)。

 港に戻り、ケビンハウスで打ち上げパーティーをしたところ、不気味な話がたくさん出てきた。
 ・深夜、三厩港に向かう途中、交差点で仙台グループの車が相手の不注意であわや車がぶつかりそうになったこと。
 ・船が港を離れて目指すポイントに移動中、濃霧のため、前方の一人乗りゴムボートに接触しそうなニアミスをしていたこと。
 ・前夜、今回の事故を暗示するような、衝撃的な船が沈む夢を見ていたという、熊さんの告白。
 ・帰港中、三厩漁港が良く見えず、奥崎船長はかなり苦労して操船した。

 これらの結末が最悪でなく、すべて回避できたのは、メンバー皆が強い運を持っていたのだと言える。
 となれば、90の真鯛が釣れても良かったはず(笑)・・・夕まずめに来てたかもなぁ〜。

 時間の経過と共に怖さが増大し、良くまぁ皆が無事で済んだものだと、今でも鳥肌が時々立っている。
 PTSD(心的外傷後ストレス障害)だろうか?(笑)、いや、そこまでひどくはない。

 その後、今回のメンバーとメールをやり取りしたところ、あんなに怖い思いをしたというのに、もう次の真鯛に気持ちが向かっていて、早くも日程の調整に入ろうとしている。好きなんだねぇ〜、魚釣りが。


午後1時45分、楽しい真鯛釣りが一転して、漁船追突事故に巻き込まれました
濃霧からヌ〜〜ッと現れた漁船が本船の右舷中央にゴォ〜〜〜ン!!!と激突した
(写真は激突後に話し合うため再び近付いてきた時に撮影したもの。実際の激突時はもっとこちらに船首が向いていた)
向こうの船長は見えなかったと言うが 本船の奥崎船長が前方不注意を激しく抗議
こんな亀裂だけで済んだのは奇跡 熊さん「まともに向かってきた。怖かった」
三厩漁港へ戻る時も先が全然見えず、しばらく時間がかかった

事故のため、予定より4時間ほど早く陸に上がり、
無事を祝ってケビンハウスで打ち上げパーティー
龍飛と言えば、たっぴのかっちゃ(上)
龍飛崎シーサイドパーク(下)

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