月が変わって5月。入院したのが昨年の6月1日だから、今月を全うすれば丸一年を病院で過ごしたことになる。ううう、でも、その前には出たい。いや、出られるだろう。いやいや、見通しは明るいので31日の退院でもいっか?とも考えたりする。 さて今日からナースチームの移動がちょっとだけあり、我がAチームに海老本さんがBチームからやってきた。ウチの部屋にはたくさんのBチーム患者がいるので、彼女の仕事ぶりは良く拝見させていただいていた。細かいところに良く気がつくナースだなと感心していただけにAチームに加わるのは願ったり叶ったりである。 早速、本日の担当になり、採血とノドチンコからの細菌採取をやられる。 夕方、回診の先生、曰く。「5、6日は外泊しても結構です」 プレドニンが今日から減って、一日17.5mgに。 |
本日の担当ナース、渡辺主任にチラつき始めた退院についていくつかアドバイスをお願いした。すると、パンフレットがあるから、ちょっとまだ早いけど「特別に」渡してくれるという。 どのページも興味深い。特に感染すると非常に怖いアスペルギルス、クロストリジウムなど、カビや菌類に対しての注意事項には目が留まった。つまるところ、潔癖症になれれば一番良いのだが、なかなかそうもいかない部分もある。ただ、あまり神経質になり過ぎると生活そのものが窮屈なものになってしまうので、過ぎない程度に清潔を保つよう心掛けろということだろう。簡単なようで難しそう。でも、いい加減な生活を送るのは許されない。 ん〜、面倒くさいけど・・・、あ、いや、大変かもしれないが、頑張らなきゃ。 |
明日は半年ぶりの外泊。家に帰ってゆっくり風呂に入ろうと思ってたが、あの黒カビにアスペルギルスが存在するというので、病院の風呂に入ることにした。今日の男子入浴時間は午後2時からのはず(ウチの病院はひとつの風呂を時間帯に分けて、切り替えている)。昼飯を食べて、小一時間、昼寝をして、ナースコールした。「お風呂、入りたいので点滴を止めてちょーだい」「はぁ〜い」 点滴が外され、ほんのちょっとばかしの自由な気分になる。 「女子入浴中」 あれ?まだちょっと早かったかな?ん?おっかしいな、もう午後3時なのにな〜〜・・・オッと待てよ。今日は何曜日?金曜日?ウソ、木曜日じゃなかったの?あちゃ〜、GWのせいで真っ赤の日が続き、曜日感覚がおかしくなってしまったようだ。 「(ナースの)海老本さん!せっかく点滴外して貰ったのに、曜日を間違えてたよ。今は女子の時間帯だったよ。どうするべ? どうだろ?遅い時間でもいいからほんの20分くらい入れないかな?」 あぶね、あぶね〜。風呂に入りそびれるとこだった。うかつだったな、曜日間違えるなんて。 |
今日は外泊日。今までの外泊であれば一刻も早く病院を抜け出したくて、午前中のなるべく早い時刻に出ようとしたものだが、今回は退院の見通しもたっており、大リーグ中継を見てからゆっくり帰ることにした。
朝の回診に来た白木先生に「先生、ビールは飲めますかね?」と思い切って聞いてみると「ん〜〜、その質問は聞かなかったことにしたいなぁ〜。ステロイド剤の量も結構入ってるし、出来れば飲まないで欲しいってとこかな。ん〜、困ったな」「あ、そうなんですか。わかりました」 と、返事したものの、気持ちは飲むことにもう決めていた、ほんのちょっとだけ。 「体力がものすごく落ちてますから、充分、注意してくださいね」にも内心で「階段トレーニングで結構、鍛えてるつもりだから、試す良いチャンスだよ」と思っていた。ところが、帰宅後すぐでかけた近所のショッピングセンターでは、ものの10分もしないうちに足の裏側、ふくらはぎから太ももにかけて張りが出てきた。やがて腰も。 半年ぶりに見るご主人様を愛犬のコロは忘れていなかった。同じペットでも猫はちょっと違うらしい。病室仲間の猫は4ヶ月ぶりに戻ったら、近づかず「フ〜」と威嚇するような行動を取ったという(笑)。よっぽど入院前にイジメたかな? ウチのワンコ、しっぽ振って抱っこをせがむのは嬉しいのだが、なんつっても犬の持つ細菌が怖くて触りにくい。「待て」をしっかりさせて、頭をなでておしまいにした。洗面所ですぐに手洗いしたのは言うまでもない。 食事。普段、食べられないメニューをリクエストして作ってもらった。すっかり冷えてしまった病院食に比べて、やはり家で食べる料理は温かくておいしい。一口ごとに「ん〜〜、まいう〜〜」と声が自然に出てしまう。 そして禁断のビールに手を付けてみた。少し勇気が必要だったが、プシュしてグビグビ。味を確かめるため、口の中で転がし、ゆっくりノドに流してみた。 ぬ?ぬぬ?ぬぬぬ?ぬぬぬぬ? なにぬねの? なんじゃこりゃ、すっげぇ〜にげぇ〜!まっずぅ〜! 後味が悪い。よくもまぁ〜、こんなもの、おいしいって飲むもんだ。苦いだけじゃないか。飲むヤツの気が知れない。でもなぁ〜、この苦さが良くて飲んでいたんだよなぁ〜。 規則正しく時間が動く病院と違い、家ではズレて動いた。そもそも午後6時に夕ご飯を食べる家なんぞ、今の時代、どこにもないだろう。本来であれば消灯の午後9時も、まだ煌々と明かりの灯る居間でテレビを見ながら家族の者と話し込んでいた。病室にいれば目をこすっている時間だが、今の自分はギンギンに目が冴えている。結局、布団に入ったのは午後11時。疲れもあったのですぐに眠れると思ったら、なかなか寝付けず、眠剤「アモバン」があればと思う始末。もはや病院の枕に慣れてしまったのか?いや、実際のハナシ、あの感触のほうが眠りやすいと思うようになってしまった。退院したら、真っ先に枕を買いに走らなければならないのか? 翌朝(6日)。8時起床。う〜ん、2時間も寝過ごしてしまった。布団から出ると、なんだか肌寒い。居間に降りると暖房が入っていた。青森の五月は、まだ朝晩の冷え込みがあるので暖房は必要である。外泊が冬や初春でなくて今の時期で良かったのかもしれない。病院にいると、あまり寒さを感じることがないだけに、適度な気温差は、適度に気を引き締めさせてくれて、退院に備えた良い勉強になった。 昼。お天気も良くなり、やはり出かけたくなった。人込みには出るなというのはわかっている。ならば、人の数が少ないスペースを狙って歩けばいいではないかと勝手な理由をみつけて、イトーヨーカドーに入った。 夜。8時までに戻る約束なので、少し慌ただしく夕飯をとり、帰り支度となった。以前であれば「はぁ〜、また先の長い入院生活かぁ〜」と思ったものだが、今回は余裕綽々。「ほんじゃまたね。ちょっくら行ってくるわ。すぐ帰ってくるから」と言って家を出る。 「ただいま〜」「お帰りなさぁ〜い」と佐藤ナースがお出迎え。 まもなくしてCVカテーテル接続のため、佐藤ナースが来て処置を行なうが、再び詰まり気味になる。不思議な縁で、前回(4/15)も夜勤ナースは彼女だった。 ま、結局、このあとすぐに開通するので、そんなに話題にすることはないんだけど、ちょっとだけ面白い出来事だったんでココに紹介してみました、ナハハ。 就寝9時。いつのまに寝たのかわからないほど、瞬間的に爆睡していた。 |
GWが終わり、新たな患者が入ってきた。我が病室も5人部屋中、2つのベッドに空きがあったが、午前中に糖尿病患者が眼科病棟へ引っ越しし、空きが3つに増えたのもつかの間、午後から続々と埋まっていき、夕方には満室になった。3名とも糖尿病患者である。
その中の一人(50代)と挨拶がてら雑談をしたら、それほど「部屋の秩序」を乱しそうな人ではなさそうで、ひとまずホッとした。のだが、次に吐いた言葉がとっても気になった。 「オラ、一番、トーニョー病が怖いど思うな。だって治らないから。さっき足が無い人見たけど、あぁ〜はなりたくないよな。それに比べたら、白血病は治るんだべ?今の医学、発達してるがら、い〜いな、白血病は」 いいなと言い切る、その無神経な言葉。返答する気もすっとび、呆れてしまった。 |
夕方、回診に来た白木先生。
「今日からプレドニンを15に減らして、一週間で2.5ミリずつ減らせれば、来週が12.5、再来週が10になるんで、そうなれば退院できますね。26日辺りかな?」 ワァ〜オォ〜、具体的に日にちが出た! ん、でもまだ3週間近く先の話である。この間に風邪を引いたり、感染症に罹ったりすれば延期もありうる。充分、気をつけて来たるその日を迎えねば。嬉しいな!この言葉、どれほど待っていたことか。 |
前日に行なった胸部CTの結果が出た。 長い入院生活になると、看護婦さん達とももはや友達みたいなモノだ。 内服薬が3種類減る。咳止めに飲んでいた「フスタコデイン」「メジコン」と、帯状疱疹や水ぼうそうを防ぐ目的で飲んでいた「ゾビラックス」が中止になる。この時点で内服薬は11種類になる。 |
朝の回診で白木先生が 「今週末も外泊していいですよ。二泊でも、どうぞ。あ、午後にマルクやりますよ」 ゲヘヘ、今週も?いいの?ホントに?ギャハハ。しかも二泊三日? うっわぁ〜、ど〜すんべ? イ〜イ〜先生だぁ〜(笑)。マルクなら、なんぼでもやってくれぇ〜。少しぐらい失敗してもいいよぉ〜・・・ウソウソ。 午後、マルク。全然、痛くなかった・・・と言えばウソになるが、過去18回のマルクの中でもベスト3に入るほど、気分的にも楽なマルクだった(笑)。 それから、CVカテーテルについて、先日の一泊外泊でさえちょっと詰まりかけたのに今回の二泊三日では大丈夫だろうか?と松山ナースにマルク後の安静状態のまんまで尋ねてみた。白木先生に相談して持ってきた返事が「もう使わないから、今日、抜いてしまおう」だった。 午後3時、4時、5時と過ぎても音沙汰がない。ちょっとだけ悪い予感が・・・・。 |
今日から骨粗しょう症治療薬「ボナロン」の内服が始まった。この薬、ちょっと変わっているというか、飲み方についての注文が多いのだ。 まず、朝、起きた時にコップ1杯の水(約180cc)で飲みなさいという。どうやら、薬の成分が強いので、多めの水で確実に胃袋まで落とし込んで欲しいらしい。食道などに留まっていると困ったことになるみたいだ。また、飲んでから30分は横になってはダメだという。胃袋に入った薬が逆流して食道に戻るとまずいのだ(らしい)。 起床後30分はこの薬に行動を制限されるために(食事や飲み物厳禁、薬だけを飲んでゴロンするわけにもいかない)少しだけ厄介である。 ネットで調べてみたところ意外な発見があった。一般の薬屋では売っていないというのにイメージキャラがあるという。親しみやすそうに「ボナロンくん」という名前が付いているではないか。キャラ自体は単なる一本の骨なのでかわいくもなんともない、が、笑える。 そもそも「ボナロン」がなぜ始まったか?そうなのだ!ステロイド剤「プレドニン」を飲み続けると、骨粗しょう症になりやすく、予防のために処方されたのだ。骨粗しょう症なんて自分には無縁だと思っていたら、こんなに身近なところに意識することとなり、ちょっとショック。 さて、前日に抜くはずだったCVカテーテルを外泊前の朝9時頃に処置した。処置そのものは10分もあれば終わる簡単なモノなので、これをチャンスとばかり、白木先生にステロイド剤について雑談風に尋ねてみた。 なぁ〜んだ、そうだったのか。少し安心したが、少しガッカリもした(笑)。腹筋が付いて、おなかが割れてきたらどうしようと少しマジで考えたりもした、ハハハ。でも、周囲の話を聞くと、割れるどころか、プックンと出てくると言うので、なんか変だなぁ〜と思っていた、ハハハのハー。なぁ〜んだ。 午前10時、外泊のため病院を後にする。車の助手席に乗って、ハタッと思った。シートベルトを締めた時に触れるので、いつも手で押さえていたカテーテルが無いのに気付く。ん〜、やっぱ無いのはイイ。 今回の外泊は、自宅に引きこもる事にした。 |
起床してすぐに計る体重が近ごろ、ちょうど600gずつ毎日増えている(苦笑)。デジタル表示なだけにごまかしがきかない。腕時計を外したぐらいじゃ、ムダだ。もうちょっとだけ様子を見て、対策を考えよう。ただ、薬の副作用で体重増加はあると聞かされているので、甘いモノの食べ過ぎだと結論付けるのは早計である。 退院前に受けたかった眼科を受診。お互いにスコープを覗き合って、片方ずつに風をフゥーッと吹きつける眼圧測定のあと、診察室へ通された。そこでもまたスコープを覗き合って、先生、曰く。 午後、点滴が外れて以来、初の病院風呂に入った。ナースコールしてロックしてもらう手間がなくなり、気楽に入れるのがいい。風呂場の鏡で胸を観察してみた。穴はちゃんとふさがって、堅い小さなかさぶたになっている。バイ菌は入らなそうだ。カテーテルのせいで今までどうしても石鹸をかけられなかった部分をスポンジで軽くこすってみる。気持ちイイ〜!!ウオォ〜・・・ってほどのモノでもないが、そこの皮膚が喜んでいるようだ(笑)。 夕方、白木先生が回診。 前夜、テレビ朝日系の「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」を見た。 |
朝6時前、火災報知器がけたたましく鳴った。こんな朝早く鳴ったのは初めてだが誤作動が結構あるので誰も避難しようとしない。というよりまだ寝ている人が多くて、動きがすぐ取れないみたいだ。自分は近ごろ、早起きになったのでベッド上で既に朝の準備をしていた。誤作動の原因はタバコか?院内全面禁煙なので隠れて吸う人が後を絶たない。風呂場や公衆電話ボックス内で吸い殻が発見されて問題になった事がある。喫煙者には厳しいだろうが、始末が悪いと大変なことになるので止めてもらいたい。数分後、異常ナシのアナウンスが流れた。 さて、この件について憤慨した患者がいたという。どうやら消防関係の御年配らしく、警報場所の特定に時間がかかり右往左往する警備員に対して「けしからん!何をやっとるんだ」と怒っていたそうだ。ただ、そういう姿を他の患者の前で見せるパフォーマンスにも思えて、自分にはイヤらしく見える。 昼前、半年ぶりに保健大の立川先生の訪問を受ける。28日から学生の現場実習がまた始まり、その挨拶のため、ナースステーションのほうへ来たという。20分ほど話し込んだ。 「残念ながら二日前の土曜日で退院するんだよねぇ、エヘヘ」 夕方、一年間、受持看護師をしてくれた松山ナースから約30分の退院後の指導を受ける。パンフレットの中身を確認しながら話を進めていくもので、いろいろと心配な点もあるが、要所だけをしっかり抑えて生活していけば、感染症に関してはだいぶ防げるので、あまり神経質になり過ぎるのも良くないと言われる。 続いて、現在、研修医として血液内科へ二週間ほど勤務している山下さん(女性)から、アポなしで突然お話が聞きたいとリクエストされ、ちょっとビックリしたが、自分自身、一年を振り返る意味もあって、30分ほど会話をした。いろんな事を思い出して、ついついしゃべりっぱなしになってしまい、ノドがカラカラになっていたが、歯止めがかからないほど良くしゃべった。息子とHLA型が適合してドナーになってしまったと言うと、非常に驚き、関心を示してくれた。今週一杯で血液内科は終了して、また他へ移るそうだが、いろいろ現場を見て立派な女医さんになって欲しいものだ。出来れば白血病関係の医師になって、一人でもこの病気で苦しむ人を救って欲しいと思った。 夜中の1時過ぎ、浦河沖を震源とする地震(最大震度4、マグニチュード5.4)が起こった。青森市はたったの震度1だったらしく、下界ではさほど騒がなかったようだが、ココ、8階病棟は豪華客船のようにユラユラ揺れた。自分はグラッと来た瞬間、目が覚め、ユ〜ラユラとする揺れ方を見極めつつ、この後、ガタガタと大きく来るようであれば、目の前の非常ドアから真っ先に逃走・・・いや、避難するように身構えた。しかし、揺れはすぐに収まった。病棟内は至って静かで、夜勤のナース達が見回りに歩いていた。 |
退院が近くなってからというもの、起床が早くなった気がする。本日の起床時刻は午前5時40分。名残惜しくなった入院生活を少しでも長い時間起きたまま体験したいと思うからだろうか(笑)?でも良く考えると、同室の杉田さん(70代)があまりにも早く起床するので、それに引っ張られる感じで起こされているような気もする。時間があるので院内を散歩してみる。外来の待合ホールに行ってみると、まだ6時前だというのに長イスに横になって受付が始まるのを待っている人がいた。なんとまぁ気が早い人だこと。
「先生が退院前に少しパワーを付けさせるため、点滴を2種類やりたいそうです。可哀相だけど、また繋ぎますよ」 点滴から解放されて10日あまり。せっかく自由を満喫していたのに、再び、繋がれるとは……。それに手首から行なうのは痛いんだよな。 サクシゾン1本とグロベニン2本の計3本を体内に注入した。それほど量が多くなかったので昼前には全部終了。時間が短いのは救いだった。 うむ、なんだか少し元気が出てきた感じがするぞ。 夕方、最後の筋力測定(10回目)を行なう。移植前の1月1日、そう、元日から始まった筋力測定もいよいよラストを迎えた。それにしても初回が元日というのも今から考えると大胆である。正月から始めなくても良さそうなモノだが、なぁ〜んにもやることがなくヒマを持て余し気味だったのでグッドタイミングだったのではないか。 |
同室のYさんとKさんが早起きで、午前4時半頃からガサゴソやってたため、自分もつられて起きてしまった。 なんて言いながら、両氏に罪を着せるのは少し気の毒なので正直な話をすると、退院も間近に迫った嬉しさから、目覚めがものすごく良くなっていた。 起床してすぐにボナロンを飲み、点滴も無いことだし、近ごろ日課になりつつある院内散策を行なって時間を過ごす。ついでに売店脇の自販機でグリコ・ぷっちんプリン「大」を購入し、朝のデザートとした。う〜ん、まいう。 朝の回診時、白木先生に最近流行のはしかについて尋ねる。 昼過ぎ、無菌室でお世話になった4階西病棟のナースステーションに挨拶に出かける。果たしてどれほどのナースが居るのか心配だったが、飛山、百葉、土原の三名に会うことができ、大歓迎された。特に柔らかい毛がモシャモシャとなりかけた頭のほうに注目が集まったようで、飛山ナースには盛んに撫でられた揚げ句「うわぁ〜、柔らか〜い。気持ちイイ。みんな、触ってごらん、ほれほれ」と他の方に催促する始末。それに応えるように皆も「どれどれ」と交代で撫で回した。飛山ナースにはダメ押しで「でも、変ね。頭の真ん中はいまいち生え方が悪いわね?」と言われ、返事ができなくなってしまう。クッソ〜、やられたぁ〜(笑)。 午後3時。最後の部長回診が行なわれる。松森部長に一年間お世話になったお礼を述べると「良かった、良かった。あとはココに戻ってこないように充分注意してくださいね」と、ねぎらいの言葉が返ってきた。 今日は金曜日。一週間のケジメ日ということもあり、ひと足先にお休みに入る方々がわざわざ挨拶にベッドを訪れてくれた。清掃員の市川さん、研修医の山下さん、石坂ナースなどと握手、握手。あぁ〜、徐々にジーンとくるものが増すようになってきたぞぉ〜。 午後10時。最後の病院ベッドでの睡眠開始。周囲のいびきが気になって眠れない日もあったが、人がそばにいる環境もまんざら悪くなかったなぁ〜と思う。見回りに来た松山ナースへ「おやすみ」を言ったとたん、ZZZZした。 |
今日も午前4時半に起床。早起きの理由も前日と同様。日課の院内散策も同様。
「移植後の食事について」をテーマに小暮先生がレクチャーするというのでカミサンともども、拝聴してから退院することにした。 朝食の後、荷物を整理してみると意外に量が多いことに気付く。前週から計画的に少しずつ持ち帰り、減らしたつもりだったのだが甘かった。慌てて、大きめのバッグを二つほど持ってくるように連絡したところ、これが大正解だった。その二つのバッグでさえもメタボリック症候群並みにパンパンに張った。無さそうで意外にあるのが入院中の荷物ってことか? 午後2時、勉強会会場へ顔を出す。そこは70名以上のものすごい人で賑わっていた。やはり皆さん、一番、気になるのは、食事にあるらしく、どれが食べられてどれがダメなのかをハッキリ知りたいということで、これだけの人数が集まったと考えられる。
部屋の患者さんに挨拶をしてナースステーションへ。渡辺ナースと班長と最後のお話。ただ、ただ「お世話になりました」の言葉しか出てこない。ずっと話をしていたかったが、そうもいかず、お別れした。エレベーターの中や病院の廊下では、うつむき加減で歩いていたのでなかろうか?あんなに退院したがっていたのに、この期に及んで寂しく思うとは不思議である。 玄関を出ると強い日差しが待っていた。予報では「涙の雨」だったのに、外れてしまった。少し汗ばむ中、自宅に到着。ソファーに座り、ホッとひと息ついた。やはり自宅はイイな。 ひとまず長い入院生活にピリオドを打った。今後は自己管理をしっかりやっていかなければならない。多少の不安はあるが、しっかりやっていこう。 |
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