MLB Tour '98

★ボストン編 8月30日★
NYを朝8時30分発のシャトル便で発ち、ボストンへ移動。このツアーで最も興味があったのはボストンだった。MLBのボストン・レッドソックスもそうだが、歴史を感じさせる古い町、ボストンが好きなのである。

飛行予定時間では約1時間になっていたが、40分もするとたくさんのヨットが出迎えてくれた。空の上から見たボストン(人口約57万人)は、のどかな地方都市に見えた。

ホテルに荷物を置いて、少し休んだのち、フェンウェイパークへ向かう地下鉄コプレイ駅へ急ぐ。何しろ、今日もデイゲームなもんで、休む時間がなく忙しい。

弥次「NYでは間違って地下鉄に乗っちまったが、今度は大丈夫だろな」喜多「心配すんなって、俺たちの乗るコプレイ駅からフェンウェイに辿り着くケンモア駅まで、たったの2駅だぜ。これで間違えたら腹を切ってやらぁ」弥次「頼むぜ、ホントに」

弥次「おっ、来た来た。それにしても地下鉄っぽくねぇ車両だな。たったの2両編成だぜ。そもそも、ぷらっとふぉーむがなくて階段を上がる雰囲気は、昔の映画に出てくる列車みてぇで、いいなぁ」

10分もなくケンモア駅に到着し、フェンウェイを目指した。

弥次「うわぁ〜、いきなり“ぐりーんもんすたー”がお出迎えだぜ。ほほぉ〜、これが高速道路かぁ。なんか知らねぇけど、鳥肌が立ってきたぜ」喜多「おめぇの一番楽しみにしてたところだぜ、鳥肌でもヨダレでも何でもいいから感動しな」
弥次「感謝するぜ。うわぁ〜、あっちにもこっちにも“すーべにあしょっぷ”が一杯、あるじゃねぇか。ちょくらゴメンよ」喜多「おいおい、あんまり買い過ぎちゃ、帰りが、てぇ〜へんだぞ」

喜多「あれっ?あそこにいるのは、Rソックスのマスコットこと“ウォーリー・ザ・グリーンモンスター”じゃねぇか?」弥次「老若男女、一杯、群がってるぜ」

弥次「へい、うぉーりーさん。おっ、こっち向いたよ。あっしは、はるばるミッポンから来たんでやんす。一緒に記念写真に写ってくりぃ。おぉ〜おぉ〜、肩なんか抱いてくれて嬉しいぜ。喜多さんや、お願ぇだ、一発頼むぜ」喜多「あいよ」(バシャ)弥次「ありがとよ。一生の宝だぜ。でも、この炎天下、ヤツも大変だな、ふ〜ふ〜言ってたぜ(笑)」

この後、フェンウェイ・パークへ入場。今日の対戦はエンジェルス対Rソックス。
入り口を入ってすぐRソックス・マガジン($1.00)を買い、朝食を食べてなかったため腹ごしらえのビール($4.00:身分証明書を提示するよう売り場の上部にしっかりと案内がある。アメリカでは弥次でも10代に見えるのかしらん?)とフェンウェイ・フランクス($2.75)とピザ($4.00)を調達して、いざ、一塁側の内野席へ(ダグアウトから約20mくらい?)。

弥次「“ぴざ”はチーズとベースだけで他に目立つトッピングがなぁ〜んにもねぇ〜じゃん。味気も素っ気もないから、あんまし、おいしいとは思えねぇな。“ふぇんうぇい・ふらんくす”は、まぁまぁいけるじゃねぇか。明日もこれ食べよっと。モグモグ」

喜多「さすが古いボール・パークだ。観客席のあちこちに柱があるじゃねぇか」
(我々の2席前の右側にも緑色に塗られた幅約40センチほどの鉄骨がド〜ンと突っ立っている)
弥次「喜多よ、見えるかい」喜多「一塁とライトの間がちょっときついな」
弥次「それにしても暑いなぁ。でもこっちは日陰だから助かったぜ。あっち(外野席)は、もろ直射だ。おぉ〜、ぐりーんもんすたーに来年の“おーるすたー”のロゴがすでにあるじゃねぇか。緑のフェンスがキレイだなぁ。あっ、ガルちゃんだ!ヴォーンだ!ウェイク君だ!うわぁ〜、すげぇやぁ」喜多「おい、おめぇばっかりしゃべってねぇでオレにも少しは言わせろ」弥次「すまん、すまん、年がいもなく興奮しちまった。ちょっくら、煙草吸ってくらぁ」喜多「オレの出番はどぉなる?」弥次「おめぇさん、自分のホームページの弥次喜多道中でたっぷり書いてくれ。じゃぁ、なぁ〜」喜多「ったく、まっ、いっか」

弥次はヤンキー・スタジアム同様、若い金髪の案内嬢を探した。だが、どこを探してもいない。仕方なく、ホゼのおっさんに尋ねた。
弥次「*■♂♀△タバコ♀■*」ホゼ「*■♂♀△…」弥次「さんきゅ」
弥次「やっぱ、わかんねぇな。少し歩いてみるか。おやおや、煙が上がってるぞ。火のないところに煙は立たずっていうじゃねぇか。行ってみようっと」
そこは試合終了後、開けられるゲート付近だった。
弥次「相変わらず、灰皿はねぇし、下にポイの足グリグリかい。しょうがねぇ」(シュポッ、ス〜)
帰国後、Rソックス・マガジンを読んで気がついたんだが、赤い文字で「All seating areas in Fenway Park are smoke-free」と発見。これってもしかして、どこでも吸えたの?意外だなぁ。

試合のほうは初回、いきなりD.ルイスのトリプルが出て、続くバレンティンがHRを叩くなど、出だし好調だったが、先発ウェイクフィールドの調子がイマイチ。
追い打ちをかける味方のエラーなどで3回 2/3でノックアウトされてしまった。

喜多「ジェフリーズがなんでエンジェルスにいるんだ」弥次「????」喜多「なぁ〜んだ。前の日にフィリーズから来たばっかしじゃねぇか」弥次「なるほど。よく打つなぁ。も少し手加減してもいいだろうに。はっするぼーいの面目躍如ってとこか」

隣の御婦人2人が気になった弥次は、多少、アルコールも入っていたこともあり果敢にも会話のチャレンジを行なった。すぐ隣の御婦人サマンサは80歳?を越えていそうだ。もう一人のナンシーは72歳(後ほど年齢判明)。多分、姉妹である。

弥次「うぃ・あー・じゃぱん。とぅでぃ、と、ともろう、見るダ。ふぇんうぇい・で・げーむ・を・わぁっち・が・できて・あいむ・べり・はっぴー・」
サマンサ「ほほほ・ウェルカム。よく来たわねぇ」
(以下、ややこしいので日本語での表記にする)
弥次「私たちは一生のうちココで見られるのは、ひょっとしたら、この2試合しかないかも知れないけど、あなた方は、今年だけでたくさん見たのでは?羨ましいです」サマンサ「シーズン・チケットを買っていつも来てるのよ。もう何試合見たかしら?私より彼女(ナンシー)のほうがベースボールには詳しいの」
弥次「シーズン・チケットですか。それは、ふぁんたすてっく!新しいボール・パークになっても、またシーズンチケットを買うんですか?」ナンシー「オフコースよ!」弥次は感動してた。と、そこへ場内から歓声が……。電光掲示板で今日はテッド・ウィリアムスの80歳の誕生日なのだとか。
弥次「サマンサさん、あなたも彼の生のプレーを見たんでしょ?」サマンサ「彼女が見たはずよ。ねぇ、ナンシー」ナンシー「1946年、20歳の時、見たわ。素敵だったわよ、ほぉ〜っほっほ」

そうこうしているうちに4回、ガルシアパーラのソロが右中間へ。5回、ヴォーンの3ランがセンターへ飛び込み、6対7と1点差に詰め寄った。そこでピッチャー交代。
登場したのは我がミッポンの誇る頭脳派投手、長谷川だった。場内アナウンスでコールされてマウンドに向かう長谷川に対して一斉にブーイング。これには驚いた。ブーイングされるほど長谷川の知名度が高かったとは正直言って思っていなかったからである。

先発のジューデンに変わって長谷川は颯爽とマウンドに向かった。
喜多が突然、立ち上がり叫んだ。「ハセガワァ〜〜、ワァ〜オォ〜」
弥次「びっくりさせんなよ。周りが見てるぜ」喜多「フフフ」

隣のサマンサが弥次の肩をこづいた。
サマンサ「ハセガワって日本人でしょ」弥次「イエッサァ〜」ナンシー「そうなの。どっちの応援をしていいのか、困ったわねぇ」弥次「あっしはRそっくすのファンですけん、Rそっくすを応援します」サマンサ「あら、あら、無理しなくていいのよ」弥次「いや、あの、その、Rそっくすの勝利はもちろん望むところでやんすが、ハセガワにも健闘してもらいたいっす。一番イイのはハセガワが、この回を抑えて、後から出てきたピッチャーをボカスコに打ち込んでくれりゃ、文句ないんですけどね」

長谷川は絶好調だった。彼の登場ですっかりRソックス打線は抑え込まれ沈黙してしまった。
ムードを変えようとセンター付近の観客席からウェーブが始まった。レフトにはグリーンモンスターがあるため、ウェーブはライトから一塁側へと流れてくる。
弥次「オォ〜、これが本場の波かい。でも、まだ弱い波だなぁ。途中で立ち消えになってるぜ」
喜多「2回目が来たぜ」ゴォオ〜。弥次喜多二人とも「イェ〜イ!キャッホォ〜!」
弥次「無事に三塁側まで届くかな?……、おっ、届いたぜ」これには場内から盛大な拍手の嵐が起こった。4〜5回、続いただろうか?弥次「噂では、ゲームに飽きがきた時とかイニングの合間に、うぇーぶするもんだと聞いてたが、今はまだ反撃してる時じゃねぇか。ちょっとしつこいなぁ」(と思った)

結局、長谷川と最終回に登場のパーシバルが無失点で切り抜けて、我がRソックスは6対8で敗れてしまった。それと複雑なことに長谷川が勝利投手に……。

BOX SCORE

TEAM 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ANAHEIM 11
BOSTON

勝:長谷川(7勝3敗) セーブ:パーシバル(38)
負:ウェイクフィールド(15勝6敗)
本塁打: ANA G.アンダーソン(14号2ラン:2回)
     BOS バレンティン(18号ソロ:1回)
         ガルシアパーラ(17号2ラン:4回)
         ヴォーン(34号3ラン:5回)
主審:テッド・バレット

気温:28.3℃ 天候:晴れ 試合時間:3:06 観客数:31,476人



フェンウェイ・パークを後にしてホテルに戻った。夜の腹ごしらえをしてなかったことに気付き、午後7時前、外へ出た。ところが、ファストフード店が閉まっている。目に入った中華レストランに入り、ビール$5.90と焼きそば$13.00を注文(別に日本食が恋しいからではなかったが、なんとなく入った)。喜多さんの注文は何だっ
たっけ?さて、出てきた焼きそばの麺の太さに弥次は「これはソバじゃなくてウドンだぜ」と悲鳴を上げた。しかも量がスゴイ。日本で食べるモノの2人前はある。4分の1を残して店を出た。

ホテルに戻りTVをつけるとコロラドでのディゲームでソーサが54号を放ったニュースが流れていた。この後ちょうどマグワイアのいるカージナルス対ブレーブス戦の放送が始まりジックリ観戦。
7回裏、飛距離約153mの逆転3ラン55号が飛び出し、益々熾烈になってきたキング争いを実感して弥次は床に入った。

※この年はMLBのシーズン本塁打記録が破られる記念すべき年となった。それまで37年間、破られることのなかったロジャー・マリス(元ヤンキース)の62本を周囲の大フィーバーにも関わらず、2人とも意外にあっさり更新。アメリカのみならず、ミッポンでも連日大々的に報道され、最終的にはサミー・ソーサが66本、マーク・マグワイアが70本という驚異的な本数でゴールした。

※2 この驚異的とも思えた本塁打数が、わずか2年後にはB.ボンズによって73本に塗り替えられた。その後、これらは筋肉増強剤によるモノと判明し、MLB歴史上の大きな汚点となった。(2011年 記)

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