あすぱむ徒然草

  平等院リポート
 京都定期観光バス「醍醐寺と宇治浪漫コース」の三番目の訪問地は、平等院と宇治周辺。

 十円玉の絵柄(1951年、昭和26年にデビュー)でなじみ深い平等院。高校の修学旅行では宇治方面がスケジュールになかったので、非常に楽しみにしていた。

 ツアーのスケジュールによると、平等院と宇治散策に約110分(昼食時間を含む)のフリータイムが設定されているので、かなり悠長に構えていた。

 自分が考えたルートは平等院→宇治橋→宇治上神社→宇治神社だったが、ココは自転車を使うわけにいかず、歩かないといけないため、途中で変更。宇治橋は断念して、近場の朝霧橋経由で宇治上神社を目指した。

 宇治上神社も宇治神社も時間配分良く見て回り、喜撰橋を渡り、駐車場のバスを確認してから、残り15分あったので、すっかり忘れていた昼食を食べようと近くのそば屋に入った。

 そば屋にはなんの過失もないが、注文の品(天ぷらソバ)がいけなかった。天ぷらは揚げなきゃダメだから時間がかかる。駅の立ち食いソバのつもりで注文してしまい、大失敗。バスの出発まで10分を切ったがまだ手元に来ない。

 店員さんに「まだかかりますか?」に「そーどすねぇ〜、も〜、まもなくだと思いますが〜・・・」の返事。急いでいる時の京言葉は、気持ちを逆なでする(笑:いやいや、冗談)
 ううう、もう6分。「お一方でも遅れますと、次のスケジュールに影響が出ますし、他のお客様にもご迷惑がかかりますので、出発時刻を守って戻られることを、よろしくお願いします」と言ったバスガイドさんの言葉が鳴り響く。あぁ〜、4分・・・。
 「ハイ、ど〜ぞ」。 来たぁ〜。急いで食べなきゃ。
 だが、出来立てなため熱くて大やけどしそうだ。3分・・・2分・・・1分・・・まるで鬼の形相で食べていたのではないだろうか? ゆっくり味わって食べると、とてもおいしいはずの天ぷらソバを、わずか3分弱で食べ終える(飲み込んだが正しいか?)と同時に店を出て、30m先のバスまで走り、飛び乗った。もう胃袋の中はメチャクチャ。

 乗って、すぐドアが閉まり、出発。最後の客だった。時計を見ると出発時刻ジャスト!たいしたもんだ。
 別に遅刻したわけではないので、謝る必要は無かったが、恐縮の面持ちで座席に落ち着いた。天ぷらソバの味は全く覚えていなくて、ただ熱かった事だけが記憶に残った。


平等院鳳凰堂
 朱が鮮やかな南門から入場し、高校生らしきグループで賑わっている鳳翔館を避けるように後回しにして、鳳凰堂を目指した。

 鳳凰堂の背後から回り込む形で阿字池(あじいけ)に沿って、前に出てみると、鳥が羽根を広げたように横へ広がる鳳凰堂が目に飛び込んできた。ついに十円玉の裏デザインに巡り合えた。

 そして中堂(ちゅうどう)の屋根には鳳凰。これも一万円の裏面デザイン。毎日、お世話になっている貴重なモノに出会えて、なんだか、とっても得した気分だ。ただ、この鳳凰はレプリカで、本物は鳳翔館に収蔵されており、のちほど、目の前でご対面した。

南門
源頼政の墓 鳳凰堂を北側から見る
西側から全体を見る。鳳凰堂中堂では内部拝観ツアーのお客さんが説明を受けている
 鳳凰堂内部を見るには、平等院拝観料600円の他に別料金(志納金)300円が必要。定員50名で締め切り、20分毎に繰り返される。12時10分のツアーには20名ほどしか集まらず、良かった。50名も集まれば阿弥陀如来坐像の前に入りきらないし、説明員の話も聞こえないだろう。鳳凰堂内の壁などには一切、手を触れないよう注意されたのち、橋(右写真)を渡って鳳凰堂内部に入った。

鳳凰堂内部(中堂)
 撮影は一切禁止なので、手元に写真は無い。頭の中だけで記憶し続けるには限界があるので、売店で絵はがきを購入した。

 鳳凰は7〜8種類の動物が合体した想像上の生き物。前が麟(首の長いキリンではない)、後は鹿、頸は蛇、背は亀、あごは燕、くちばしは鶏、尾は魚。また、足は鶴とも言われている。自分にはシャモが、よろいと兜を身に付けたように見える(失礼!)。

 阿弥陀如来坐像は平安時代後期に活躍した仏師・定朝(じょうちょう)の唯一の遺作。像高2.8m+台座1.8m。2004年から補修が行われ、金箔を押し直したり、木製だった眉間の白毫(びゃくごう)を水晶に戻し、2005年8月に鳳凰堂に戻された。この白毫、外からの陽が差し込むと白く光り非常に神秘的になるらしい。

 中堂内は、阿弥陀如来坐像を左右と前の三方から囲むように雲中供養菩薩像が配置されている。当初は全部で何体あったのかはハッキリしない。現存するのは52体。ところどころ、フックのようなモノだけが残っており、それら(半数の26体)は、鳳翔館に展示されている。


鳳翔館
 こちらも館内の撮影は禁止のため、写真は無い。2001年、平等院ミュージアム鳳翔館がオープン。入り口からすぐの映像展示室ではCGによる創建当時の約3分の再現ビデオが上映されており、これが素晴らしかった。当時の色鮮やかな平等院は、さぞ、目にまぶしかったに違いない。

 順路に沿って、梵鐘、扉絵、雲中供養菩薩26体が展示され、最後はお土産ショップで買い物。


宇治上神社
 平等院を出てからは、ゆっくり20分ほどかけて、宇治川を渡って宇治上神社へ。
 さわらびの道(少し登り坂)を上がると、鳥居に着き、更に中に入ると拍子抜けするほどシーンとしていた。拝観者は自分と、下の写真にも写っている男性との二人のみ。有名な神社仏閣は大勢の人で溢れ返っているとの固定観念があるため、不思議なもので、人が少ないと不安になる。何しろ、神社関係者の姿も見えないために、ココはホントに宇治上神社なのだろうか?と疑った。

 だが、日本最古の神社が静まり返っているのは、もしかしたら、本来あるべき姿なのかも知れない。ミーハー気分でいろんな人が観に来て、ゴミを大量に出されるよりはイイ。

鳥 居
さわらびの道 本殿覆屋
拝殿。手前に見える二つの小さな砂山は「清め砂」と呼ばれ、神霊がよりつく対象物を表している
左が本殿覆屋、右は拝殿 摂社春日神社本殿

宇治神社
 宇治上神社と対をなすといわれる宇治神社。こちらは若干、参拝者がいたが、だとしても少ない。歴史的な説明は他のサイトに紹介されているので、そちらを参照して貰うとして、時期が来れば、ココも大賑わいするのだろう。
二の鳥居
桐原殿(拝殿) 桐原殿を階段下から見る

宇治川散策
 琵琶湖から流れ出ている宇治川。瀬田川→宇治川→淀川と名前を変えて大阪湾に流れ込む、一級河川。幅約30mはありそうだ。釣り人の姿も見つけ、自分は川釣りをやらないが、このような環境下で釣りをできる羨ましさを感じた。

 鵜飼いと言えば、岐阜の長良川。ところが、ココ、宇治川も有名だと知り、知識不足を痛感。時間があれば、いつか、宇治川遊覧もしてみたい。

朝霧橋
岸には水鳥達が
朝霧橋を渡って対岸へ 喜撰橋(きせんばし)

宇治川遊覧
★遊覧のみ
 大人一人500円 乗船時間約15〜20分
 食事付き遊覧 大人一人700〜1500円。乗船時間30〜60分。

★鵜飼い遊覧船(乗り合い)
 大人1800円、子供900円。乗船時間は記載がないので不明

 有限会社 宇治川観光通船(電話 0774-21-2328)

 鵜飼いは、夏の風物詩とも言われていることから、6月中旬から9月下旬までが営業期間で、自分が訪れた10月は既に終わっていた。
 なお、上記の情報は2010年10月現在のものであり、以降、変更も有り得るので、ご利用の際はネットか、電話でお問い合わせ下さい。残念ながら宇治川観光通船のホームページは存在しません。


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