26日に行なった採血の結果で正体不明の菌がみつかる。白木先生も首をかしげながら、なぜそのような菌(本人には名称がわかってるんだろうが、私にはなんという菌なのかわからない)が出たのか不思議がっている。 そのマルクについて、ちょうど向かいのベッドの中村さん(60代中盤:残念ながら、この後、病状が悪化し4月10日逝去されました。合掌)と、その話になったのだが、彼は前回のマルクで、なかなか骨髄を取れず、結局は断念したと言う。彼にはマルクがトラウマのように逃げ出したいモノとしてインプットされていたのだが、今日、マルクを告げられて、随分、顔色が悪くなった。自分は未だ経験がないが、彼は通常、胸からのマルクを行なっているのだそうで、それがまた非常に痛いのだと言う。 そんな事があって、いよいよマルクの時刻がやってきた。 このあとマルクの中村さんにも良い報告が出来ると、急いで病室に戻った。 |
部屋も体の中も乾燥しているのが一因だと言われ、試しに加湿器を使ってみることにした。あまり期待はしていなかったのだが、それまで乾いた空咳だったものが、多少、湿っぽくてタンが切れる咳も混じり始めた。 体が乾燥している感じは良くわかっていた。特に口の中なんぞは、ひと呼吸するたびに乾いてしまい、舌で唾液をぬってやらないと完全にカラッカラに乾いてしまいそうなほどである。ただ、その唾液がいまいち出が悪いので、結局は乾いてしまって咳も出るようだ。 夜、ベッド脇に加湿器を置いて寝ることになった。完ぺきではないが、今までとは違った楽な睡眠がとれて加湿器サマサマだった。 夜、37度半ばの微熱が出る。あまりひどくなく、体が少しポカポカする程度。特に処置せず。 |
筋トレを変えてみた。 さて、そのトレーニング方法だが、なんちゅーことはない。1段目を使って、上り下りするだけである。点滴スタンドが無ければ、そのまま上がって行きたいところだが…。まず一歩目を右足から始めて70回。上り下りが完了して一回と数える。右の次は左足を一歩目に同じく70回。物凄く単純だが、歩くためのトレーニングとしては最適ではないかと思っている。合計140回ということは10階から11階のビルを上った計算になる。終わると、体中から汗がじわじわと出てくるってことは、結構、鍛えられているという証拠にならないだろうか?今後は70回を80、90…と増やしてみようと思う。 夕方から夜にかけて、37.5度〜38.2度の熱が出る。アイスノンで冷やしただけで解熱した。 |
血液中に菌が見つかった件と、依然として一日に何度か微熱が出る原因がヒックマンにあるのではないかとの疑いを持った白木先生が抜き取る決断をした。普通であればヒックマンを抜くと言うと、退院近しという先生からのメッセージみたいなもの。つまり退院の二週間前辺りに抜くのが、一般的である。自分のようにまだまだ退院がずっと先の者が抜くのは、結構、珍しい事なのではないか? よって、処置室において、左胸にCVカテーテルを挿入し、次に右胸のヒックマンカテーテルを抜き、結果をレントゲンで確認するというスケジュールの忙しい午後になった。 元を絶ったので、熱が出なくなると思いきや、そう簡単にはいかない。この日の夜は軽く38度の熱が出て、最後の抵抗をしてきた。これ以降、熱は出なくなった。 |
胸部CT撮影を行なった。 2月初旬から苦しめられている咳だが、GVHDなのか、菌によるものなのか、未だにハッキリしない。ただ、加湿器等を使い始めた事で少しずつ咳の状態も変わってきた。最近では、日中はほとんど気にならないが、布団に入ってから、時々、発作的に激しい咳が襲い、起きてしまう。咳は呼吸が苦しいほかに、体を激しく動かされることから体力もかなり消耗させられる。ひどい時は咳が収まると汗びっしょりになり、しばらく身動きできないほどである。 |
朝9時に通常の採血で試験官11本分、採られる。それから2時間後、もう一つの検査もしたいからというので再採血1本を行なった。先日、某TV番組で採血がイヤだとマジで採らせなかったお笑い芸人なら、ぶっ倒れているだろう。 今日から免疫抑制剤ネオーラルが1個ずつ減った。朝1個(10mg)、夜1個で計20mg。 病室は平穏だが、窓の外は真冬に戻っていた。前日からの冬型低気圧が大暴れして青森地方は吹雪となり、これが三日間ほど続いたために交通機関も大きくマヒした。 |
20mgを三日間続けて変化が起こらなかったので、今日からは「ナシ」になった。 さて、以前から不思議に思っていたことがある。患者仲間と話をしていて、必ず出てくる免疫抑制剤の名称がプログラフ。自分が使うネオーラルは誰の口からも出ない。自分だけ仲間外れになったような気分でいたのだが、田中ナースに聞いて納得した。 なぁ〜るほど。 |
ネオーラルがナシになってからというもの、医療側の行なうことといえば、何か変化が起こらないかを観察するだけなので、毎日が実に退屈・・・いや、ゆったりした時間が流れる。 今までのように日付ごとに報告するだけの出来事がないので、まとめさせてもらう。 【16日】 【17日】 【18日】 時々、足を運んで診てくれる小暮先生が、まだ出ないGVHDについて「息子さんの細胞がよほどお父さんと近いんだろうね。我々は6種類(HLA型)を適合の判断にするけど、あなた達の場合、6種類はもちろんのこと、他のいろんなデータもかなり合っていたんだろうね。だからあまり強く出ないのかもしれない」と解説してくれた。でもGVが出ないと困るんですよね〜に「ん〜〜、何か見えないとこで出てんじゃないかな?ふふふ」。 【19日】
非常に気分よくしていたら、血液中にカビが見つかり、シロップ(イトリゾール)を飲むことになった。これがまた後味が悪いのなんの。一口目では「おっ、養命酒みたい」と喜んだが、その後ジワジワと気持ち悪い味が込み上げてくる。このカビ、口中や食道にいるそうで、それをやっつけていると思えば耐えるしかない。30分以上、飲み食いできないのが少し辛い。でも一日朝の一回だけだから我慢、我慢。 【24日】 私の病棟は8階で上には残り1階しかないので最初は降りるしかない。一歩目を踏み出し、どこまで降りようか考えた。階段数を数えながら降りたが、全く足への負担がなく、当初の4階までというのが消え去り、1階まで降りてしまった。 【25日】 回診で先生は言った。 |
咳の原因を突き止めるため、再び胸部CT撮影を行なうことになった。 結果を呼吸器科の先生に尋ねると「あちこちにモヤがかかっているんだよね。何かある証拠。前回のCT写真にもあるにはあったが、その時から比べると多くなっている。もっと精密に検査するため内視鏡を入れてみましょう」 恐れていた肺の内視鏡がついに現実のこととなってしまい元気がなくなる。この内視鏡検査、咳が出ると止まらなくなるらしく、もがき苦しみ咳込む中で検査は行なわれるという地獄のような検査なのだ。経験者の名良橋さんからの情報は非常にタメになると同時に怖い情報を集めていたのだった。 主治医は咳の原因は二つ考えられるという。一つは真菌やカビ、二つ目はGVHD。はっきりさせるにはその部分の組織を取ってくるのが一番、確実だ。だから内視鏡しかないのだよという感じで話してくる。有無を言わさず、明後日朝から検査することになった。 なお、菌類だった場合に備えて、前もって手を打っておこうと抗菌剤「ブイフェンド」を夜から投与した。 消灯となり、まだ9時ではあるがだるさがあったので床に入った。ベッドライトを消して、まぶたを閉じた時・・・不思議な現象が起こった。青白い輪がアトランダムにまぶたの中をいくつも動き回っている。それが徐々に明るさを増すもんだから、眩しいったらありゃしない。手の平を目の上に乗せても同じ。 |
肺内視鏡検査の日である。 朝は絶食。「ハルシオン」というどこかで聞いたことのあるような薬を飲まされる。意識もうろうになるらしいが、あまり感じなかった。思ったより早く9時半に呼ばれ、車イスに乗って1階の内視鏡室へ。 自分が通されたのは3つあるストレッチャーのうちの右端。後からお客さんが隣に来たことから少なくとも彼らの一番手だと自覚。ただ椅子に座った患者がいるので、多分、その人が最初のようだ。自分の位置からはカーテンなどが引かれてるため一切見えない。そんな中、最初の患者の処置が始まった。 ゲホゲホゲホ、グエッグエッ、ゴッフォゴッフォ・・・・激しい咳が始まった。まるで呼吸する時間がないほど咳込んでて、(見られないので)聞くからに苦しそうだ。 最初の患者は咳をしたまま、隣りのカメラ室に移動し、続けて内視鏡を入れられた。ひと言で言うと、地獄の叫びのような咳がずっと鳴り響いた。少し疑問に思うのは、このようなシーンを頭に植え付けられて、他の患者が冷静でいられない。スペースの関係で別室にするわけにいかなかったのだろうか?例えは悪いが死刑執行の順番待ちをしてるようなものである(笑)。 さて、自分の名前が呼ばれ椅子に腰掛けた。まず看護婦からドロッとしたシロップを渡され、口の中でゆすいで飲み込んだ後、余りは手渡された紙袋に吐き出すように言われる。噂のマズサがわからない。結果的にこの味覚音痴が幸いした感もある。続いて肩に注射。痛いですよと言われたが、全然感じなかった。 診察台へ仰向けに寝かされる。目にはガーゼのようなモノで目隠しされ、まもなくマウスピースがあてがわれる。 部屋に戻ると麻酔が切れるまでの2時間、飲食禁止。予め、昼食もストップしておき、ちょうど面会に来るという息子に吉野家の牛丼を注文しておいた。以前であれば特盛りでもペロリと平らげたのに、今日は並でさえ見ただけで「わっ、多い感じ」。でもおいしく残すことなく最後まで食べた。 と、まもなくして急きょマルクのお誘いが。いやはや忙しい一日だ。でも急だったのが、すごく精神的には良かったみたいで、やりますか〜、やりましょ〜、ブスッ!ってな感じで、あっという間に済んだような気がした。 |
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