青森ねぶたも今日が開幕。梅雨明け宣言も出され、シャバは本格的な夏を迎えた。 「お客さん、どうぞこちらへ。坊主頭にしますか。どこまで短く刈ればいいですか?」
「はい、終わりました。五分だとこんなもんですが…長くないですか?」 たわしのような自分の頭をジョリジョリなでながら、なんだか人にジロジロ見られているような被害者意識を持ってエレベーターに乗り込んだ。 結局は、このあともドンドン抜け毛は激しくなり、半月もしないうちにツンツルテンの丸坊主になってしまった。床屋で五分か三分かで迷ったのは実にムダだった。
夜、噂のボクサー、亀田兄のタイトルマッチを見た。いつものボクシングなら午後9時で終わるのだが、今回のは引っ張るわ引っ張る。やたらとCMが多くて、一向に試合が始まらない。亀田の生い立ちを延々と流すTV。何度も繰り返し見せられるCM。いい加減にして早く始めてくれ。 この数時間あとに、私の体には異変が迫っていた。♪ズンズン、ズンズン、ズンズン、ズンズン、ズーランチャッチャ、ズーランチャッチャ(映画「ジョーズ」のテーマ音楽です) |
深夜の午前3時20分、ものすごい寒けが全身を襲い、ブルブル震えた。熱い!体温を計ってみたら38.2℃もある。 ナースコールをして、状況を伝えた。伊賀ナースが来た。解熱の注射をしてもらい、採血をされ、寒けを抑えるため、電気毛布が用意され、布団に包まれて、ジッと寝ることにした。 朝になって白木先生の指示が出る。先生の表情も幾分、こわばっているように見える。 意外にも食欲はたいして落ちず、ご飯の味もわかったので食べられた。 う〜ん、昨夜の夜更かしが悪かったか?それとも床屋で移されたか?相手が目に見えないだけに怖い。 |
昼前、突然、先生とナースが来た。「今から個室に移動します」 「えっ?」驚きの声を上げたものの、ちょっと嬉しかった。
ともあれ、人の声が絶えず聞こえていた大部屋から、日中でも極めて閑静な個室「レオパレス21」に移ってきた。 気分転換になったのか、熱が38℃台に落ち着いてきた。
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ようやく平熱に戻る。高熱のせいで胸には湿疹が出て、口にはヘルペスが。昼に行なった血小板輸血では手の甲にわずかな輸血疹も出る。連日のグラン注射のおかげで、白血球が4500までハネ上がった。 ねぶた祭りも今日が最終日。夜は海上運行と花火大会があり、こちらの部屋からだとちょっと角度がきついが、どうにか見られそうだ。薄暗くなった午後7時過ぎ、最初の一発が打ち上げられ、しばし往く夏を惜しむ。あぁ〜、今年はねぶたが見られなかった。来年はどうかな? |
霊などというものはあまり信じない性質だが、金縛りに遭遇してしまった。 そんなところへ携帯のメール着信音が・・・。スウーッと軽くなった。助かった、ほっ。 個室は気楽で良いと思ってたが、この体験で考えが変わった。 あとで聞いた話では、個室入室の際に予め用意しておいた塩を軽く捲き、清めてから入る方もいるらしい。 |
今日は約2ヶ月ぶりの外泊。グラン注射のせいで白血球数は適正値に収まるほど立派な数値。 また悪いことは重なるもので、CVカテーテルが2回目の詰まりを起こし、なかなか薬が落ちていかない。ベテランの田中ナースが孤軍奮闘、エッチラオッチラ、努力したおかげで見事に開通。スムーズな流れとはいかないまでも、落ちるようになったので手締めを行なった。
ノドの麻酔薬を飲み、横に寝かされる。マウスピースをあてがい、いよいよヤツは侵入してきた。 ウゲッ!ゲホッ!ぎゃぁ〜!グルジィ〜。 目には涙、口からはよだれ。何とも情けない姿をしていることだろう。おそらくマウスピースは噛み砕かれんばかりの思い切りの力でかじられてるはず。あと「肩の力を抜いて、鼻から息を吸えば楽ですよ」と言われるが、とてもそんな芸当は中国歌劇団でなきゃ、無理というもん。 だが、食道をカメラが通過すると少し楽になった。視線を左上にやるとモニターが見える。茶色で水っぽく光るトンネルが写っており、液体が噴霧されているようだ。「これ、何ですか?」と尋ねられる状況ではなかったので(笑)、検査終了後、尋ねた。 「ルゴールで中を洗浄しました。異状はナシでしたよ」 あぁ〜、良かった。何も異状ないんだったら、やんなくても良かったのにぃ〜・・などと、つじつまの合わない文句を言いながら病室に戻った。ゲップをするとルゴールの臭いが口中に広がり、気持ち悪い。 さぁ、やることはやったから、外泊するよといきたいところだが、まだやることがあった。 輸血が終わり、シャバに出たのは午後6時になっていた。半日分を損した気分だったが、仕方ないこととして自宅へ急いだ。この夜、飲んだ2ヶ月ぶりのビールの味は格別だった。ナースには「化学療法のせいで味が変わってしまって、飲めなくなるわよ」と言われただけに、恐る恐る口にしたが、元々、舌が鈍感な自分にはなんの変化もなかった。 それにしても個室から外泊した人は数少ないそうで、大部屋の仲間からは「重症患者が入る個室を空けて、外に出るとは悪いヤツだ」と盛んに冷やかされた。 |
外泊中にも、主のいない間に部屋の移動があるかもしれないと言われてたので、荷物をまとめておいたのだが、13日夜に戻ってみると、まだそのままだった。そろそろ個室も飽きてきた頃で、出たいとは思ったが、以前の6人部屋は自分の場所がもう埋まってしまい、そこには帰る余地がなかった。 11時、突然、ナース3名ほどが乱入してきて「引っ越しよ、引っ越し」と言って、荷物をワゴンに上げていった。なんという早業。個室入室と同様の手順で10分もしないうちに私は新たな部屋にいた。ただ、今回はベッドごとの移動ではなく、徒歩だった。元気になるとこうも扱いが違うものか(笑)。 今度の部屋は4人部屋。しかも念願の窓側の位置である。それまで居た個室と同じ並びの部屋なのだ。むつ湾が一望でき、船の往来も見られて、非常に素晴らしい。感染症にかかり熱でも出さない限りは、移植の日までずっとココで過ごす事になるのかと思ったら、嬉しくなった。 |
昼前、カミサンから、ドナーが一人見つかったので所定の手続きをしてくださいという封書が到着したと連絡が入る。ちょうどこの時期、バンクのほうはどうなっているのか心配になっていた。何しろ、患者登録してから、はや2ヶ月が経とうとしているのに、全く音沙汰なしだったからだ。このような形で連絡が来るとは知らず、朗報に大喜びする。 |
キロサイド330mg/24時間を5日間、ラステット170mg/24時間を5日間、これらが終わったのち、オンコビン1.3mg/30分を1日、フィルデシン3.3mg/30分を1日。
ポンプに繋がれるのは5日間だけなので、いくぶん、気が楽。あとは副作用がどう出るかが問題だ。 |
夜から足首が無性にかゆくなり、大林ナースを呼ぶ。「この注射、効き目イッパツで、すぐに眠くなるわよ」と言われる・・・が、そうはいかなかった。かゆみが勝って40分ほど眠れなかった。 このあと、かゆみは4日間連続で続き、いかにして安眠するかで苦労する。かゆみ止め注射はもちろんだが、血行が良くなるとかゆみが増すとのことから、熱冷まし剤を足に巻いて寝てみる。なるほど、かゆみは止まり、その間が寝るチャンスだ。 どの薬の副作用でかゆくなるのか、この時点ではわからず、まず抗生剤を疑ってみた。マキシピームを一週間続けたのち、メロペン、ケイテンと変えたのだが、メロペンになってからちょうどタイミング良く、かゆみが止まったので、犯人をマキシピームとした。しかし、第4回目の化学療法ではマキシピームを使っていないのに、またかゆみが出て、総合的な判断で、抗ガン剤のキロサイドとなった。 |
年に一度のベッド交換日(らしい。第一、1年のスケジュールを知り尽くすほど入院するつもりもない)。 実は自分のベッドには不満があった。他の皆さんと違って自分のだけが、上下させたり上体起こしなどがハンドル操作で行なう手動式ベッドだった。これを機会に電動ベッドにして欲しいなと思っていたら、願い叶って、電動が来た。あんまり嬉しくて、リモコンで上げたり下げたり、まるでガキのようにいじくっていたら笑われてしまった。 ※笹原君、26日に退院。めでたしめでたし。 |
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